第8章 *先輩サウザント*
リドル『まったく、学園長も甘い。規律違反を許していてはいずれ全体が緩んで崩れる。ルールに逆らったやつはみんな一思いに首をはねてしまえばいいのに。学園長はキミ達を許したようだけど、次に規律違反をしたらこのボクが許さないよ』
エース『...あのー、ところで寮長。この首輪って...外して貰えたりしませんかね?』
顔は笑っているが内心恐る恐る尋ねるも、リドルの表情は変わらずスンっとしたままだった
リドル『反省してるようなら外してあげようと思ったけど、先程の発言からしてキミに反省の色があるようには見えないな。暫くそれをつけて過ごすと良い。
心配しなくても、1年生の序盤は魔法の実践より基礎を学ぶ座学が中心だ。魔法が使えなければ昨日のような騒ぎも起こさなくて、ちょうど良いだろう?
さあ、昼食を食べたらダラダラ喋っていないで早く次の授業の支度を。ハートの女王の法律・第271条、昼食後は15分以内に、』
『長い』
軽くタンッと足を鳴らすと、レイラは立ち上がりリドルの前へ歩み出た
リドル『なっ...!まだボクが話しているだろう!』
『それが長い。ルールを守ってエースが反省してお詫びすれば良い話、でしょ...だったら最初から分かりやすく言って。長い話...キライ』
リドル『っ、無礼だね...キミ、退学騒ぎを起こした内の1人という自覚はあるのかい?』
『今関係ある?』
リドル『大いにあるさ。規律を守れない者に文句を言われる筋合いはない』
『規律とかルールとか、難しいことばっかり...周りの人いなくなるよ、その内』
リドル『なんだと....』
二人は一歩も譲ること無く互いを睨み付ける。纏う雰囲気が段々と険悪になっていき、同時に辺りの空気がピリッとするのを肌で感じたユウ達は、流石にそろそろ止めないと、と頭に警告が鳴り響く
トレイ『ストップ二人とも。寮長、俺がちゃんと見張ってますから』
リドル『...フン、キミは副寮長なんだからヘラヘラしてないでしっかりしてよね。ボクはハートの女王の法律・第339条、"食後の紅茶は必ず角砂糖を二つ入れたレモンティーでなければいけない"を守るために購買に角砂糖を買いに行かなきゃならないから、これで失礼』
ポタッと、黒いインクが1滴、心を蝕んだ