第57章 *合宿スタート*
エペル『うぇえええっ!?おっ、僕が、バレリーナ!?』
ヴィル『足の指だけで立つルルベをしろとは言わないけど、ターンくらいは綺麗に出来るようになってもらうわ。
何よりまず"男らしい"とか"女みたい"なんていう、化石マインドを捨ててもらう』
エペル『そ、そんなこと..急に言われたって..!』
いきなりのことに戸惑いを隠せず、困ったように瞳を揺らすエペルを傍らで見ていたエースたちは、ヴィルの指導におっかながっていた
デュース『...』
グリム『ひえ..飛行術のバルガスより鬼コーチなんだゾ』
エース『絶対目ぇつけられたくないタイプ。大人しくしとこ』
デュース『あの、シェーンハイト先輩』
そんな時、1人エペルを心配そうに見つめていたデュースが、突然ヴィルの元へと近寄っていった
ヴィル『なに?新ジャガ2号』
デュース『バレエレッスン。僕も一緒にやらせてもらえませんか』
『『えっ!?』』
エース『お前、マジ?なんでわざわざ自分から..』
ヴィル『理由は?』
デュース『僕も"男らしいか"どうかとか、良く考えてしまうので。折角受かった選抜メンバー。テッペン狙うなら、マジでやりたいんです』
エペル『デュースクン...』
ヴィル『いいでしょう。ある程度バーレッスンをこなせば、カカシもヒトに近づくかもしれないわね。それじゃ、今日のレッスンはここまで』
ルーク『ウィ。さあ、みんなでオンボロ寮に戻って、夕食をいただこうじゃないか』
ヴィルとルークの言葉を最後にレッスンは終了し、エースたちは疲れた身体を引きずるように、帰りの身支度を整え始めた
ヴィル『待ちなさい。最後にやることがあるでしょ』
『『『え"っ?』』』
ナイトレイヴンカレッジ・メインストリート
まだ雪の残るメインストリートに、サクサクと雪を踏むオンボロ寮へと帰る足音が響く
エース『だぁ~~っ、もうくたくた~~。レッスン後に、ボールルームの床を四つん這いで雑巾かけさせるなんて、ヴィル先輩鬼かよ』
デュース『僕はワイパーみたいに腕を大きく振りながら、窓拭きをさせられた。腕と背中が痛い..』
背中を後ろ手で擦りながら痛みに顔を歪めると、その背中に小さな温もりがフワリと添えられた