第57章 *合宿スタート*
オンボロ寮・談話室
ヴィルに言われるままに、エースたちは荷物を持ったまま談話室に集まった。人数分の椅子がなかったため、ソファーと椅子に全員納まるように少し詰めながら座る形となった
カリム『で?ヴィル。なんなんだ?大事な話って』
ヴィル『みんな、持ってきた荷物を開けて見せてちょうだい』
エース『えぇ?荷物広げるなら部屋に行ってからの方が..』
ヴィル『いいから開けて』
少し強めの口調に、エースたちは渋々自分達が持ってきた荷物のチャックを開けて、中身を取り出し始めた
その中身を見た瞬間、ヴィルの端整な顔が呆れた表情へと変わる。そして、まず視線をエーデュースコンビへと注いだ
ヴィル『..やっぱりね。新ジャガ1号、2号。なに?このスナック菓子と炭酸ジュースは。クッキーにキャンディ、チョコレートバーまである!』
エーデュースコンビの荷物から次々に出てくるお菓子の袋を持ち上げながら問う
デュース『夜にお腹が空くので..』
エース『せっかくの合宿だし、レイラたちと食おうかなって』
『美味しそう』
エース『でしょ?お前、こういうの食べたことないと思って買ってきた』
『嬉しい』
ヴィルは笑い合う二人を他所に、今度はスカラビアの二人の荷物へと視線をむけた
ヴィル『カリム。あんたの荷物も、大半が食べ物の入ったタッパーじゃない!』
カリム『おう!ジャミルに作ってもらった揚げ饅頭と、クナーファっていう小麦粉の菓子だ。ナッツやチーズ、クリームなんかを乗せると美味い。お前らに食ってもらおうと思ってさ!』
ヴィル『ジャミルは食べ物を持ち込んでいないようだけど..なに?この大きな布の包みは』
ジャミル『有事の際にすぐ解毒剤を調合できるように、魔法薬と薬草のセットです。魔法薬学に長けているヴィル先輩がいらっしゃるので、必要ないかとも思ったのですが。念のために』
ヴィル『なんか物騒ね..まあいいわ』
思いがけないジャミルの荷物の内容に若干引きながら、次はエペルの荷物を確認し始めた