第57章 *合宿スタート*
そんなことを話していると、最後に入ってきたエーデュースコンビが荷物をドカッと降ろすと、カリムたちに抱き締められているレイラへと手招きした
エース『お邪魔しまーす。レイラ、早速だけどこっちおいで』
デュース『ユウ、レイラ、暫く世話になる』
『エース、デュース、いらっしゃい』
手招きされるまま、カリムたちから離れてエーデュースコンビの元へ抱きつく
エース『オレの部屋にも来てよね。今日からの合宿でお前が唯一の癒しなんだからさ』
デュース『僕の部屋にも来てくれ。お前と一緒なら良い夢が見られそうだ』
『二人の部屋にもちゃんと行く』
優しく髪を撫でられる心地に気持ち良さそうにしていると、ふとデュースの後ろ手に、白い箱がチラチラと見え隠れしていることに気づいた
『デュース、それなに?』
デュース『ん?あぁ、これか。トレイ先輩からだ』
デュースの手には少し大きめの白い箱が抱えられ、そこから僅かに甘い匂いがしていた
『美味しそうな匂い..もしかして、ケーキ?』
エース『そ。トレイ先輩特製のチョコレートケーキとアップルパイ。別の寮に世話になるんだから手土産くらい持って行けってさ。お母さんかっての。後でみんなで食べようぜ』
グリム『にゃっはー!流石は食えないメガネ、気が利いてるんだゾ』
トレイの作ったケーキと聞いて、分かりやすくテンションが上がったグリムがその場を跳び跳ねていると、彼らの後ろからゆらりと影が揺れた
ヴィル『ーー残念だけど、その手土産は没収させてもらうわ』
グリム『へっ!?な、なんで!?』
ヴィル『まったく。トレイは相変わらずね。"良かれ"で甘やかして相手をダメにする、一番気をつけなきゃいけないタイプの男』
グリム『もしかして、オメーもリドルみてぇにルールだとか言って食料を捨てるつもりか!?食い物を粗末にするやつは、オレ様が許さねぇんだゾ!』
フーッ!と毛を逆立てると、ヴィルは分からないと言うように眉をひそめた
ヴィル『はぁ?何の話?捨てるなんて言ってないでしょう。合宿前に大事な話をするから、みんな荷物を持ったまま談話室に集合してちょうだい』