第56章 *抜擢アロー*
するとレイラの言葉にヴィルは端整な顔をしかめて、這うような低い声で睨み付ける
ヴィル『..本当にどうしようもないほど臆病で意気地無しなのね。魅力のカケラどころか、何も持ってないのね』
エペル『ヴィルサン..っ..』
突き刺すような言葉に、見ていられなくなったのか止めようと呼び掛けるが、圧のあるヴィルに横目で睨まれ、口をつぐんでしまった
ヴィル『はぁ..ほんと、期待外れも良いところだわ』
『勝手な期待、持たないで...』
ヴィル『....』
『..私は、みんなが思ってるような子じゃない..』
ヴィル『...何とでも言いなさい。そもそも本気で1番になろうと思わない、やる気のないやつなんて最初からお断りよ。せいぜいアタシたちの邪魔にならないようにサポートなさい。行くわよ、二人とも』
そう吐き捨てると、後ろの二人を連れてレイラの横を通りすぎていく。完全に三人の気配が消えるまで、レイラはその場に立ち止まったままでいた
グリム『ぶな"ぁぁぁぁ!!ヴィルのやつ、言いたい放題だったんだゾ!レイラ、なんで理由を言わなかったんだよぉ』
『..間違ってないもん。私は臆病だし度胸もない。それに、理由話しても多分変わんない』
グリム『そんなわけねぇ!ぅ"~..こうなったらユウたちに、』
『ダメ。ユウたちには言わないで』
グリム『何でなんだゾ?』
『また迷惑かけちゃう。今、大事な時だから..こんな小さなことで気を使わせたくないの』
グリム『....』
『お願い』
グリム『はぁ..仕方ねぇ。黙っておいてやるから感謝しろよ』
『ありがと。グリムと私の秘密ね..』
ポムフィオーレ寮・ボールルーム
『ただいま』
ユウ『おかえり。大丈夫だった?』
『ん..大丈夫。はい、みんな..これ』
エース『おっ、サンキュー♪ちょうど欲しかったところ』
デュース『悪いなレイラ』
カリム『ありがとな!』
ジャミル『わざわざすまない。重くなかったか?』
『ううん、全然』
グリム『...』
ユウ『グリム?どうかした?』
グリム『..ぅ~..なんでもねぇ..』