第54章 *申請ハリー*
呼ばれた本人はグリムの姿に気づくと、あからさまに嫌そうな顔でこちらを睨み付けた
エース『げっ!グリム!よりによってそこ呼んじゃう!?』
デュース『おい、仮にもサバナクローの寮長だぞ!?』
グリム『だってオレ様、この教室で顔見知りなんてあいつしかいねぇんだゾ』
至極当然とばかりに言うグリムだが、そのおかげで本人からの圧のある視線と周りからの視線に晒されるはめになった
ユウ『凄く不機嫌そうにこっち見てるし..あと周りからの視線が痛い』
レオナ『この俺を顎で使おうとは良い度胸だな。用があるならテメェが来いよ』
『レオさん..?』
レオナ『...!』
ひょこっとユウの背中から顔を覗かせたレイラに、レオナの耳はピクッと反応し、叩きつけていた尻尾も止まった。そして、先程まで不機嫌そうに歪められていた表情が、驚きの後に僅かに直った
ユウ『(わー、この人も分かりやすい)』
『レオさんだ...』
レイラもレオナの姿を確認すると、パアッ!と不安だった表情を明るくさせ、小走りでレオナの元へと寄って行った
それに続いてユウたちも恐る恐るながら彼の所へと歩いていく
グリム『ここまで10メートルもねぇんだゾ。まったく、しょうがねぇなぁ』
デュース『僕はたまに、グリムのことをすげえやつと思うことがある』
エース『オレもぉ..』
レオナ『..で?何の用だ草食動物ども。下らねぇことなら開きにすんぞ』
エース『って、ちゃっかりレイラを抱えてるし』
レオナは自身の隣の席にレイラを座らせ、片手で肩に手を添えて抱き寄せていた。そのおかげか、彼の尻尾は機嫌良くユラユラと揺れてレイラの腰辺りに緩く巻き付いていた
当の抱き寄せられた本人も嬉しそうにレオナに体を預けて、小さな兎耳をピコピコさせている
そんな甘い状況に文句の1つとでも言いたかったエース達だったが、相手が相手なのと彼の機嫌が良い内がチャンスだと思い、仕方なく黙っていることにした
グリム『ルーク・ハントってやつに会いてぇんだ。紹介してくれよ』