第54章 *申請ハリー*
昼休みや放課後を使ってはカリムたちの指導の元、ダンスの特訓を始めて三日後の昼休み
初日はユウ達だけだった体育館は、今やオーディションに参加する他の生徒たちの姿がまばらに見えていた
エース『昼休み、体育館でオーディション課題曲のレッスンするやつら増えてきたねー』
グリム『みんな優勝賞金を狙ってんのか?ツナ缶は渡さねぇんだゾ!』
ジャミル『賞金よりも、これを機にプロデビューを狙う生徒のほうが多いんじゃないか?』
デュース『プロか..言われてみると、どいつもこいつも身のこなしが熟れている気がする』
ジャミル『そう身構えなくても、君たちも歌いながらのパフォーマンスが様になってきてる。最初の頃の"慌てた象"に比べればだいぶマシだ』
カリム『うんうん。歌声の伸びも良くなったし、音も外さなくなった。真面目にボイストレーニングを頑張ったおかげだな。えらいぞ、お前たち!』
ユウ『みんな頑張ってたからね』
『カリムさん、一曲通してみる?』
カリム『おう、頼んだ!じゃあ、いくぞお前たち!』
『『『はーい』』』
デュース『よっしゃ!一回もトチらずに踊りきれたぞ!途中で歌詞も飛ばなかった!』
グリム『にゃっはー!オレ様も!一回も尻尾踏んづけなかったんだゾ』
エース『さっすがジャミル先輩。物覚え悪いやつらがこの短期間でパフォーマンスをものに出来るなんて』
カリム『だろだろ~?ジャミルの教え方、すげー分かりやすいよな!オレも昔から世話になってんだ』
ジャミル『ごほん!俺の話はいいから..これで一通りの基礎は教えられたはずだ。後は各自で練習して、オーディションに挑んでくれ』
カリム『当日はライバルってことになるな。でも、お前たちの健闘、祈ってるぜ!』
ジャミル『まあ、負ける気はしないけどな』
自信満々な様子に応えるように、エースたちも"負ける気がない"と互いに笑い合った
『...』
ユウ『やっぱりレイラも歌って踊りたい?』
『..みんな楽しそう。でも、我慢しないと。ひっそり暮らしていかないとっておばあちゃんにも言われたし』
ユウ『..外の人達が一切入ってこないような、学校内だけのイベントがあれば、レイラも楽しめるね』
『ん...』