第53章 *公募アナウンス*
髪にそっとキスを落とすと、アズールの瞳が一瞬ギラリと輝いてはジャミルを睨み付けた
ユウ『(レイラも厄介な人達に好かれちゃったな)』
ジャミル『それで?用はなんだ』
アズール『ジャミルさん、日直ですよね?午後の魔法史が自習になるそうです。職員室まで課題プリントを取りに来てほしいとトレイン先生が』
ジャミル『分かった、すぐ行く』
『そういえばジャミさん、あの日のこと全世界に配信ってされちゃったけど、あれから大丈夫?』
腕の中から不安そうに見上げるレイラに、ジャミルが口を開こうとした瞬間、遮るようにアズールが言葉を被せてきた
アズール『嫌ですねぇ。あんなの"もう言い逃れできない"と思わせるためのハッタリに決まってるじゃありませんか』
グリム『ふなっ!?』
『そう、なの?』
アズール『ええ。クラスメイトを社会的に終わらせるような真似を、慈悲深い僕がするとでも?』
ジャミル『...お前ならやるだろ』
グリム『..慈悲深いやつは、あんなひでー嘘つかねぇんだゾ』
アズール『ふふふ。本当にあの日は、ジェイドとスマホで通話していただけです。僕はレオナさんと違って、必要以上に相手をいたぶって楽しむ趣味はありませんから。
折角手に入れた秘密です。自ら価値を暴落させるようなマネはしませんよ』
ジャミル『はぁ、どの口が..』
『レオさん、優しい人だよ?』
アズール『それは貴女限定ですよ』
『アズさんも優しい』
アズール『と、当然!僕はいつでも慈悲の精神で行動してますからね!優しさの塊ですよ!』
ユウ『(うわ、あからさまにテンション上がった)』
グリム『(アズールが一番単純なやつかもしれねぇんだゾ)』
レイラに褒められて分かりやすく機嫌を良くし、ふふん、とドヤ顔で胸を張る姿をユウたちは若干引いた様子でそれを見ていた
ジャミル『...でも、そうだな。悔しいが、アズールの慈悲のおかげで俺の親も、アジーム家も。俺がオーバーブロットした本当の理由は知らないままだ。寮生たちは...』
『みんなは?』