第53章 *公募アナウンス*
ジャミル『なっ!またお前は勝手に...』
突然の提案に再びジャミルが反論するが、"人数が多い方が楽しい"と言ったカリムと、それに乗じて"お願いします"と教わる気満々なエースたちに、渋々了承せざるを得なかった
ジャミル『まあ、いいだろう。ただし、優しい教え方は期待するなよ』
エース『余裕でしょ。スパルタにはうちの寮長で慣れてるし』
デュース『ビシバシオネシャス!』
ジャミル『それじゃあ、引き上げる前に使ったフロアの整備だ。倉庫からモップを持ってこい』
倉庫を指差して指示すると、エーデュースコンビとカリムは3人で返事をして一緒にモップがけを始めた
ジャミル『カリム、お前はしなくて良い..はぁ』
『お疲れ様』
ジャミル『お前もな』
労るように手を握ってきたレイラの手を握り返すと、片手で優しく腰を引き寄せて軽く抱き締めた
そうして3人のモップがけを見守っていると、体育館にコツコツとした硬い足音が聞こえ、振り返るとそこにはアズールの姿があった
アズール『ああ、良かった。ここにいらしたんですね、ジャミルさん』
ジャミル『アズール?何の用だ』
スカラビアでの件もあってか、アズールに対して僅かに口調や表情がキツくなっていた。それに気づいたアズールは愉快そうに口角を上げた
アズール『クラスメイト相手に、そんな嫌そうな顔をしなくて良いでしょう』
『アズさん』
アズール『レイラさん、こんにちは。今日も愛らしい姿を見られて嬉しいですよ』
『私もアズさんに会えて嬉しい』
そう言ってアズールのところへ抱きつきに行こうとジャミルの腕から抜けようとしたが、グッと力が込められ身動きがとれなくなっていた
『ジャミさん..?』
ジャミル『ダメだ。アズールに近づくとまたお前の性格がワルくなる。それに..遠慮しないと言っただろ』
『..んふふ、そうだね。じゃあ今回は我慢する』
アズール『おや、抱きついてくれないのですか?その様子だと..どうやら僕らの仲間入りをしたようですね』
ジャミル『お前と仲間なんてゴメンだが、まあ..そういうことだ。言っておくが、俺は譲らないからな』