第53章 *公募アナウンス*
ヴィル『あら。アタシ、まるで悪役ね。でも..元はと言えば、エペル。ホリデー中にレッスンをサボってたあんたが悪いのよ
VDCでファイナリストに選ばれるためには、まだまだ課題は山積み。楽をして一番になれるとは思わないで。さあ、行くわよ』
エペル『...はい。みんな、またね...』
目の端に今にも溢れ落ちそうな涙を浮かべながら、消え入りそうなか細い声で別れを告げると、エペルは先を歩いていったヴィルを追いかけるようにその場から去っていった
グリム『ふなぁ~...あいつ、結局連れていかれちまったんだゾ』
エース『気分悪。この学園って、カンジ悪くないと寮長になれない決まりとかあるわけ?』
ユウ『レイラ大丈夫?怪我とかしてない?』
『ん...平気』
ユウの手を取り立ち上がると、制服についた汚れをパンパンと払った
デュース『他寮の寮長に喧嘩売っちまうなんて。ローズハート寮長の耳に入ったら、首をはねられるかもしれないな』
困ったようにため息をついたデュースだったが、エペルの悲しげな表情と小さく呟かれた言葉が頭から離れずにいた
そして、そんな彼らを遠くの木々の間から見つめる影が1つ揺れていた
『...っ!!』
ユウ『どうしたのレイラ』
『...ううん、何でも、ない』
ただ1人、レイラは急に這い上がってきた寒気に振り返るがそこには既に影はなかった
『ね、早く授業に行こう?遅れちゃうよ』
デュース『そうだった!僕は日直の仕事をしにいかないと』
エース『さっきので疲れたし、とりあえず着替えるだけ着替えて時間来るまで寝よ~っと』
五人はボロボロの身体を引きずりながら、実験室へと向かうために中庭を後にした
去り際、レイラはもう一度気配のした方を向いて軽く睨み付けると、ユウたちの後を追いかけていった
?『気配を消したつもりだったのに、実にマーベラスな警戒心だ』
狩人はただただ愉快そうに笑みを浮かべるだけだった