第53章 *公募アナウンス*
形の良い眉をひそめると、ヴィルは期待外れだと言わんばかりに軽いため息をつくと、さっと手を離して背を向けて歩きだした
ヴィル『さあ行くわよ、エペル』
エペル『...でも僕、本当はこんなことっ!』
ヴィル『ーーーアタシとの約束、忘れたの?いいから来なさい』
エペル『う....っ』
ヴィルの強い瞳と口調に身を縮こませたエペルは渋々その後をついていこうしたその時、我慢できなくなったエースは声を低めてヴィルを呼び止めた
エース『ちょっとあんた、寮長だか何だか知らねーけどそいつ嫌がってんじゃん。しかもレイラに無理矢理触れといて何もなしかよ』
グリム『出会い頭にジャガイモ扱いとは、バカにしてくれるんだゾ』
デュース『お、おいお前ら。揉め事は禁止って学園長にさんざん言われてるだろ!』
『でもエースたちをバカにしたのは許したくない』
ユウ『喧嘩はダメだけど、寮長だからって無理強いは良くないです』
エペル『君達、待って。僕は大丈夫だからっ..』
デュースやエペルが慌てた様子で止めに入るが、エースたちは聞く様子もなく、真っ直ぐヴィルを睨み付けた
ヴィル『ふぅん。ジャガイモ風情がアタシにもの申そうだなんて良い度胸ね。食後のウォーキング代わりにちょうどい。かかってきなさい、マッシュポテトにしてあげる』
ヴィルたちはそれぞれの胸元からマジカルペンを取り出すと、どちらともなく勝負をしかけた
ユウ『しゅ、瞬殺...』
しかし、ヴィルの身のこなしはエースたちを凌駕し、全く歯が立たずあっという間に魔法で吹き飛ばされてしまった
ヴィル『全ての動きがドタバタしてて見苦しい。美しさがカケラも感じられない。100点満点中5点』
地面に倒れこむエースたちとは対称的に、ヴィルは汗1つすらかいておらず、涼しい顔をしながら転がるエースたちを見下ろしていた
ヴィル『次から喧嘩を売る相手はよく選ぶことね』
エペル『ああっ..みんな、僕のせいで..』
瞳を震わせ、エペルは倒れたエースたちを心配そうに見つめることしかできなかった