第53章 *公募アナウンス*
エペル『うん。君達は、確かデュースクンとエースクン..それにグリムクンとユウサンに、レイラチャン..かな?』
グリム『おお、オレ様たちを知っているとは、オレ様たちも有名になったもんだゾ』
エペル『寮対抗マジフト大会のエキシビションマッチ、凄く面白かったから』
ふふっ、とその時を思いだし、愛らしく笑うエペルだったが、当の本人のエースは微妙な心境で頭をかいた
エース『何か、不本意な方向で目立ってんな~』
デュース『それで、エペルはなんで井戸の中に向かって歌ってたんだ?』
エペル『こうすると井戸に声がこだまして、客観的に自分の声を聞けるんだ。だから、ここで歌の練習するようにって寮長のヴィルサンが...』
デュース『ポムフィオーレには、"歌が上手くなければならない"って法律でもあるのか?』
エース『うちの寮じゃあるまいし、そんな変な法律があるわけないでしょ』
エペル『そうだね。特に寮の決まりではないんだけど..僕、ボーカル&ダンスチャンピオンシップのオーディションを受けるんだ』
デュース『へぇ、凄いじゃないか』
エペル『それで..もっと愛らしくて可憐な歌声で歌えるようにって..
あんな大会、なくなっちゃえばいいのに』
ボソッと呟やかれた声に、ユウたちは思わず首をかしげた。そして、ユウの背中に隠れながら傍らで見つめていたレイラは、エペルの瞳が悲しげに伏せられていることに気づいていた
『...』
デュース『え?』
?『あら、エペル。歌の練習をサボって鳩とお喋り?』
エペル『あっ...!ヴィル、サン...!』
突然聞こえてきた声に、エペルがビクッと肩を震わせ冷や汗をかきながら恐る恐る声の方を振り向くと、そこにはエペルと同じ色の腕章をつけた、白金の艶めく髪の生徒が立っていた
その佇まいから上品さや気高さが滲み出ていて、キラキラと彼の周りを輝かせていた
デュース『あれはポムフィオーレ寮長、ヴィル・シェーンハイト..!』
エース『うわ、近くで見ると整いすぎてて迫力ある』
『あの綺麗な人、マジフト大会の前に見た...』