第53章 *公募アナウンス*
デュース『ふっ、それにお前らがオーディションに落ちた時、慰め役も必要だろ?』
先程とは変わって意地の悪い笑みに、エースはムスッと顔をしかめて真っ先に反応した
エース『おいこら、落ちる前提で話すんな。見とけよ、ぜってー受かってやっから』
『そうだよデュース』
エース『レイラ..』
『慰め役は私やるもん』
エース『って、そっちかよ!!』
グリム『賞金とツナ缶はオレ様のものなんだゾ!』
デュース『はいはい...あ、僕たちのクラス、次の授業は魔法薬学だったよな。僕、今日は日直なんだ。実験室に器材の準備をしにいかないと』
『じゃあ、急いでご飯食べよ?』
グリム『賛成!もうはらぺこなんだゾ~』
ナイトレイブンカレッジ・中庭
昼食を終えた五人は、移動教室先へと向かうために中庭を通って歩いていた
グリム『昼飯で腹いっぱいになった後の授業って眠くなるんだゾ~』
エース『実験中にウトウトして魔法薬爆発させんなよな』
ユウ『そうなったら僕が死ぬからほんと頼むよ』
?『ア~~~♪アァ~~~...』
ふと中庭の奥から中性的な綺麗な歌声が五人の耳に聞こえてきた
デュース『なんだ?この歌』
『綺麗...』
ユウ『井戸の方から聞こえるね』
?『ア~~~♪アァ~~~ア"ァッんがっ!オエッ!』
エース『な、なんか急に汚くなったな』
ユウ『めっちゃえずいたね』
?『めごく歌えで言われでも、わ、無理だじゃ..』
声の主が重いため息をついたその時、ユウたちの動きに近くの草むらが揺れ、声の主は驚いた様子で振り返った
ガサッ
?『誰っ!?』
デュース『あっ、邪魔して悪い。歌が聞こえたから...あれ?』
『この子、ホリデー明けにデュースがぶつかった子..』
薄紫のふわりとした髪をもつ彼の姿に、デュースを始め五人全員が見覚えがあった
?『あっ...あの日は、ごめんね』
デュース『いや、こっちこそ。えぇと確か、エペル..だったか?』
エペル『え?なんで僕の名前を?』
デュース『ジャックに聞いたんだ。二人は同じクラスだったよな』