第52章 *ポムフィオーレ寮編~美貌の圧政者~学祭スタンバイ*
スカラビア寮・談話室
『くしゅん!』
ジャミル『大丈夫か?』
『ん』
ジャミル『ここは暑いとはいえ、さっきまで寒かったからな。風邪をひかないようにしろよ』
寮長会議が行われている一方、スカラビア寮ではカリムとの約束で遊びに来ていたレイラは、ジャミルからカリムの不在を伝えられたものの、折角だからということでそのまま滞在していた
『誰か噂してるのかな?』
ジャミル『かもしれない。お前は目立つから』
『ぅぅ...』
ジャミル『にしても悪いな。まさかカリムと約束をしていたなんて知らなかった。寮長会議と見事かぶったな』
『いいよ、仕方ないもん』
ジャミル『カリムからお前に"すまない"と謝っておいてほしいと言われてな。それと、侘びとしてプリンの作成を頼まれて..』
プリンと聞いた瞬間、兎耳がピンと反応し瞳も期待にキラキラと輝きだした
ジャミル『ふっ..分かりやすいな。今持ってくるから待っていろ』
『~♪美味しい』
ジャミル『それは良かった』
『ジャミさんの作るものって何でも美味しい..こんな美味しいの殆ど毎日食べられるの、羨ましいな』
ジャミル『なら、うちに転寮するか?』
思いがけない言葉にジャミルを見上げると、そこには冗談ではなく真剣な眼差しと目が合う
ジャミル『割と俺は真面目だぞ。お前なら、毎日でも手料理を食わせてやっても良い』
『...ありがと。でも、私はオンボロ寮の生徒がいいな』
ジャミル『..そうか』
『遊びに来たときには、またご飯食べさせてくれる?』
ジャミル『あぁ、歓迎する』
『嬉しい..あむ...~♪』
再びプリンを頬張りながら幸せそうに笑う姿に、ジャミルは愛おしげな笑みを浮かべて静かに見守っていた
暫くして食べ終わったレイラが満足げに空になった容器を置くと同時に、ジャミルはあることに気づいて苦笑いした
ジャミル『レイラ、口の端についてるぞ』
『ぇ、ほんと?』
ジャミル『まるで小さな子供みたいだな。待ってろ、今とってやるから』