第50章 *閑話カームデイ8 ~トレイ~* 注:裏表現
大食堂・厨房
『イチゴを洗って...ヘタも取って..』
トレイ『よし..レイラ、こっちは焼き上がったぞ』
『分かった..』
ある日の休日、大食堂の厨房にはいそいそとお菓子作りに励むトレイとレイラの姿があった
『あとは切ったイチゴを乗せて..完成』
トレイ『良い出来だ。美味しそうなイチゴタルトになったな』
鮮やかな赤を放つイチゴがたっぷりと乗ったタルトは、食べなくても分かるほど美味しそうにキラキラとしていた
『リドルさん喜んでくれるかな?』
トレイ『あいつの好物だしな。それに、疲れた時に甘いものはとにかく格別だ。きっと喜んでくれるさ』
『ん..よし、届けに行こう』
ハーツラビュル寮・リドルの部屋
コンコン...
リドル『どうぞ..』
少し元気のないリドルの声がドア越しから聞こえ、開いて中に入ると沢山の書類に頭を押さえながらペンを走らせでいた
眉間にシワを寄せ、明らかに疲れた顔で机に向かう姿に、トレイは苦笑いで近づいた
トレイ『リドル、少し休憩しないか?朝からずっとその調子だと倒れるぞ?』
リドル『あぁ..トレイか。そうだね、少し休むことにするよ。まったく..寮長の仕事も楽じゃないね』
『お邪魔します、リドルさん』
リドル『レイラ!?何故ここにいるんだい?』
『その前にこれ..』
レイラが後ろ手に隠し持ってきた皿を見せると、途端にリドルの目がパアッと輝いた
リドル『イチゴのタルト..これを、ボクに?』
トレイ『休憩がてら作って持っていこうと思って、厨房で作業してたら丁度レイラと会ってな』
『リドルさんにタルト作って持ってくって聞いて..お手伝いしたいってお願いしたの』
リドル『そう、か...』
『リドルさん、食べてみて?』
トレイ『紅茶も淹れるぞ』
リドル『すまない..ありがとう二人とも。折角だ、三人で食べようか』
『やった..』