第49章 *再会シーク*
『コウモリさん..?』
リリア『おっとすまぬ。歳をとるとどうも涙脆くなってしまっていかんな』
リリアが指で拭おうとすると、その前に横からハンカチを持った手が伸びてきて、そっと目元をトントンと優しく叩かれた
『コウモリさん..泣いてる..』
リリア『すまんな。優しい子だな..お主は』
目元を拭う手を掴むと、リリアはそっとその指先にキスを落とした
リリア『聞いても良いか?アデライトは、どんな様子だった?』
『おば..アデライトさんは元気だったよ。魔法も上手でみんなの上に立って頑張ってた。私にいっぱい大事なことを教えてくれた』
リリア『そうか。あやつが人に魔法を教える日が来るなんてのぅ..』
『アデライトさん、誰かのこと考えて凄く優しい顔してたんだよ』
リリア『ほう?そやつのことを何て言っておった?』
『大好きな人。憧れてて、お兄さんみたいだって..』
リリア『...っ、ふふ..ふふふ...はははっ!!あやつめ、そんな風に思っていたとは。今度会うことがあればこれをネタにからかってやろう..クフフ..』
腹を抱えて笑うリリアだったが、そこには馬鹿にするような印象はなく、愛しいものを見るような優しい笑顔だった
『その人とコウモリさんは知り合い?』
リリア『ん?...あぁ、そうか。うむ、そうじゃな。そやつはわしの知り合いでな。アデライトと長年連絡が取れず心配しておったから、わしが代わりに手紙を寄越した』
『私がいたから丁度よかったんだね』
リリア『そういうことじゃな。ともかく、手紙を渡してくれたこと、そして返事を貰ってきてくれたこと。感謝するぞ、黒兎の末裔よ』
よしよし、と頭を撫でられ気持ち良さそうに目を細めていたが、ある事を思いだし"あっ"と声をあげた
リリア『どうした?』
『私、ユウに後で追いかけるって言ったんだった。コウモリさん、私行くね』
リリア『魔法で送ってやろうか?』
『ううん、コウモリさんはそのお手紙早く読みたいでしょ?だから1人で行ってくるよ』
そう言ってリリアに手を振りながら背を向けると、校舎の中へと走っていった
リリア『やれやれ..気を遣わせてしまったようだ。ではお言葉に甘えて..
アデル..生きていてくれて本当に良かった』