第49章 *再会シーク*
『見て見て..学校の周り人が増えてきた。声もいっぱいするよ』
寮の前から学校を眺めると、校舎や外庭に先程より歩く生徒の数が増えてきていた。どの生徒も大荷物を抱えており、ホリデー帰り直後だと言うことがわかる
ユウ『明日から授業が再開だね。また慌ただしい日の始まりだ』
『楽しみ..』
グリム『に"ゃっ!?ということは学園長も戻ってきてるってことか!くそぉ、スカラビアの事件で役に立たなかったことに文句言いに行ってやるんだゾ!』
SOSの電話にでなかった事を思いだし、グリムは眉間にシワを寄せると、一直線に学園長目掛けて駆け出して行ってしまった
ユウ『あっ!!ちょ、グリム!!』
慌てて追いかけようとしたが、その場で止まってレイラの方を振り返った
ユウ『グリム追いかけなきゃ..でもレイラは』
『ごめん、先に行ってて。少しここで外眺めてたい』
ユウ『分かったよ。ゆっくりでいいからね』
そう言うとユウは今度こそグリムを追いかけて校舎の方へと走っていった
一方残ったレイラはベンチに腰を下ろすと、白い息を吐いてはまだ冷え冷えとする空を眺めていた
『ふぅ..冷たい空気が気持ちいい』
リリア『そのままだと肺まで凍ってしまうぞ?』
ひょこっと上から覗き込むように目の前に現れたリリアに、驚く様子を見せたものの叫ぶことはせずにすぐにニコリと笑った
『久しぶり、コウモリさん』
リリア『うむ、お主が元気そうで何よりじゃ。あやつも喜ぶことだろうな』
逆さまの状態を身軽に反転して戻ると隣に座り、嬉しそうにほけほけと笑った
『あやつ..?あ、そうだ..コウモリさんにお手紙ね』
思い出したようにポケットに手を突っ込むと、アデライトから預かった黒い手紙を取り出してリリアへと差し出した
リリア『これは..まさかアデライトからのものか?』
『そうだよ?..コウモリさん、どうしたの?』
先程までニコニコしていた表情が、手紙を見た瞬間ガラリと驚愕に満ちたものへと変わったことに首をかしげた
リリア『そうか..そうか..あやつ、生きていてくれたか..』
震えた声で手紙を愛おしげに見つめるリリアの目から一筋の滴が伝い落ちた