第49章 *再会シーク*
『ごめん』
アデライト『まぁいいさ。おっと、帰る前にこれを渡したくてね』
アデライトはレイラに2つの物を手渡した。1つは縦長の箱、もう1つは赤い彼岸花が模様にされた真っ黒な手紙だった
『これは?』
アデライト『箱の方は開けて見てごらん』
言われる通りに蓋を開けると、そこには綺麗なネックレスが入っていた。黒の細いチェーンに、真ん中には深紅の小さな宝石がキラリと輝いていた
『キレイ..これ、私に?』
アデライト『そうさ。里の森に住む鉱石の妖精達からの祝福の証。お前さんを遠くから見てたらえらく気に入ったみたいでね。是非にと渡されたんだ』
エミリア『凄い..里の鉱石の妖精が祝福を渡すなんて。普段は気難しくて人に関わることすら嫌がるのに..』
アデライト『私ですら久しぶりに顔を見せてくれたよ。お前さんは相当気に入られてるようだね。妖精からの祝福は貴重で強力だよ』
『嬉しい..お礼言いたいんだけど、いるかな?』
アデライト『彼らは気まぐれだから会えるとは限らないよ。今度会ったときにでも言うと良い』
そう言ってネックレスを手に取ると、レイラの首にそっとつけてやる。胸元で光るネックレスは祝福を放つように優しく揺れた
エミリア『とっても似合うわ。素敵よ、レイラ』
ディオン『うんうん♪いつにも増して綺麗だよ』
アデライト『お前さんに祝福あれ..だね』
『ありがと。それで、こっちの手紙は?』
アデライト『...それは、お前さんが帰ってくるときに私宛に手紙を寄越したやつがいただろう。そいつに会ったら渡しておいておくれ』
『コウモリさん..?確か、おばあちゃんの言ってた大事な人の知り合い』
アデライト『...そう、だね』
『分かった、絶対に渡すね』
しっかりと荷物の中に手紙を仕舞うと、魔方陣の上に足を踏み入れた
『じゃあ、そろそろ帰るね。ママ、パパ、おばあちゃん..また次のホリデーに会おうね』
エミリア『身体に気を付けて、しっかりね』
ディオン『いつでも連絡していいから』
アデライト『学校でもしっかり学ぶんだよ。元気でね』
『ん!行ってきます..』
転送の瞬間にエミリアたちが涙ぐんでいるのが見えつつも、一瞬で景色は光に包まれた