第47章 *君臨エンプレス*
?『そ、それは..』
老婦人はどう答えていいか迷っている中、住人たちは口々に彼女を責め立てる
そんな様子を見てレイラの胸に再びモヤモヤとした感情が駆け巡り、ついに我慢できなくなって立ち上がると、老婦人を庇うように前に立ち塞がると、キッと住人たちを睨み付けた
『やめて、この人は悪くない。私がお願いしたの..手伝わせてほしいって』
?『無理矢理手伝わせた者にそんな風に庇われるなんて、なんてお優しい黒兎様だ』
?『ご安心を。この者には後から我々がきっちりと言っておきますので』
レイラの言葉を信じることはせず、寧ろ哀れみの言葉をかける住人に、モヤモヤが強くなっていく
『..私が言ってるのにどうして信じてくれないの』
タンタンと足を鳴らしながら苛立ちを露にすると、レイラの纏う雰囲気が外を吹き抜ける風よりも冷たくなり、住人たちの背に悪寒が走った
?『く、黒兎様...?』
?『どうされたのですか!?』
『..私達の話しも聞かずに勝手に決めつけないで。それに、私がお仕事を手伝って何が悪いの?』
?『わ、私達は..貴女様に労働なんてことをさせたくないと..』
『別に悪いことなんてしてないでしょ..この人に怖いことしようなんて思わないで。もしそんなことしたら、私が許さないから..』
レイラの怒りに反応した魔力が膨れ上がり、レイラの身体の周りを電流がバチバチと駆ける
?『く、黒兎様...』
アデライト『その子の言うとおりだよ』
『『『黒兎様っ!?』』』
突然後ろから音もなく現れたアデライトにその場の全員が驚き、住人たちは一斉に座ると頭を下げた
『おばあちゃん..』
アデライト『レイラ、とりあえず落ち着きな。魔力が溢れてる。コントロールは昨日教えたはずだよ』
『ん...』
目を閉じて心を落ち着けると、纏っていた電流が次第に消えていき、冷たいオーラを感じなくなっていった
アデライト『良くできたね。さて、お前さんたち..この子の貴重な経験を奪ってはいけないよ』
?『私達はそのようなことは..』
アデライト『本当かい?労働なんてさせたくないと言っていただろう?それはこの子のためにはならないよ』