第47章 *君臨エンプレス*
?『ではお願いいたします。ですが決して無理はしないように!』
『分かった..』
さすがに普通の靴ではということで、長靴と手袋を借りたレイラは老婦人の指示のもと、土を耕したりそこに種を巻いたりと畑仕事を手伝い始めた
初めての農作業に一つ一つの行程にワクワクしながら一生懸命に励む姿に、老婦人はクスリと笑った
『ん?どしたの?』
?『あっ、申し訳ありません!決して黒兎様を悪い意味で笑ったのではなくて...とても楽しそうにされているのが愛らしくて』
『こういうこと初めてだから、全部楽しくて..でも畑のお仕事って大変なんだね』
?『そう、ですね。私にはこの畑を継ぐ者がいないので..』
『一人でやっていくの?』
?『はい。あ、でも里の人たちがたまに手伝ってくれるので、そこまで苦労はしてませんよ』
『...私、ホリデー中だからあと少しで学校へ行っちゃうけど、ここにいる間手伝いに来て良い?』
?『え!?ですが..』
『私がやりたいの。色んなこと経験したいし、そうすればもっと成長できると思う。黒兎としても成長できれば、貴女たちも嬉しいでしょう?』
?『は、はい。黒兎様がそう仰られるなら是非』
『やった。ありがと』
その後、レイラは老婦人と共に畑仕事を終えると、畑の近くで休憩をとっていた
?『ありがとうございます黒兎様。おかげで仕事も早く終わってこうしてくつろぐことができます』
『ううん。いきなり押しかけちゃった感じだったのに優しく受け入れて、お仕事も教えてくれて..こちらこそありがと』
二人で温かいお茶を飲みながらホッと息をはいていると、畑の向こうからガヤガヤと騒がしい話し声が聞こえてきた
『ん?なんか..』
?『あ...』
老婦人がいきなり身体を震わせ始め、何かと首をかしげると向こうから数人の住人が血相を変えて走ってきた
?『本当に黒兎様が!!』
?『何故、黒兎様が畑仕事などを!?』
?『お前が黒兎様に手伝わせたのか!!』
?『あぁお可哀想な黒兎様。無理矢理そこの女に手伝わされてそのようにお召し物を汚されて..』