第47章 *君臨エンプレス*
『..これからどうしよう』
[お家には帰りづらい、あのご婦人のところへも行きづらい、カ..なら、少しこの里を探検してみるのはどうかナ?]
『里を..?』
[キミは10年ぐらいここにいるけど、この里の事は何も知らないだろウ?この機会に知るのも良いんじゃないかイ?どうせ今は帰れないんだかラ]
『..そうだね。行こっか』
静かに頷くとゆっくりと立ち上がり、気の向くままに歩き出した
『見たことない景色ばかり..ここにずっと暮らしてたのに』
[キミはお家に閉じ込められてたようなものだからネ。知らないのは当たり前サ]
初めて見る自分の住む里の景色に興味深そうに見渡しながら歩いていると、農作業をしている一人の住人の姿を見つけた
『(ちょっと怖い..けど)こんにちわ..』
?『はいこんにち..く、黒兎様っ!?』
農作業をしていたアデライトと同じほどの齢をした老婦人は、レイラを見るやいなやその場で座り込むと、勢いよく頭を下げた
?『黒兎様をこの目で見られるなんて..』
『あの..頭下げなくていいから、それに..私、そんな偉くないよ』
?『いいえ、貴女様はアデライト様に次ぐ神たる先導者。私達のような者が対等な距離で話して良いものでは』
『ぁぅ...じゃあ、その私がお願いする。顔を上げて立ち上がって?』
?『は、はい..失礼します』
さすがに黒兎からの願いを無下にできるわけもなく、老婦人は言われた通り元の体勢に戻った。だが相変わらず頭は少し下げ気味のままだった
『何を育ててるの?それに、冬なのに..』
?『こ、この野菜はキャベツの一種でして、元々寒い季節に植えられていた少し変わったものです』
『そうなんだ..すごい』
そう言って畑全体を見ると、老婦人一人では些か荷が重いように見られる広さに見えたレイラはある事を思い付いた
『ね、私も手伝って良い?』
?『!!い、いけません!黒兎様のお手を煩わせるなんて!それに、畑仕事は服も汚れますし』
『別にこの服汚れても気にならないよ。それに..ちょっと気晴らししたいし、貴女の助けにもなるなら..ね、お願い』
先程同様、黒兎からの願いに老婦人はたじろぎながら"ですが.."と悩んでいたが、ついには諦めて渋々承諾することになった