第47章 *君臨エンプレス*
『『っ...!!』』
顔だけ振り返ったレイラの瞳は二人も見たことないほどの冷たさを宿し、その冷たさに身体がすくんだのかそれ以上何も言うことはできなかった
そんな二人を残してレイラは背を向けると、その場から逃げるように足早に玄関を抜けて家を出ていった
パタンと閉じられたドアの音が無情に響き、いつも笑顔で溢れていた家に苦しいほどの静寂が包み込んだ
エミリア『っ...わたし..っ、本当に酷い親だわ...』
ディオン『エミリア..僕も同罪だ。あの子のことを何も考えてあげられなかった』
エミリア『一人で行動することが出来ないあの子がああやって出ていくほど、私達はあの子の心を傷つけた』
ディオン『この里にいる限りなら危険は殆どないから安心だけど。問題は..この後、どうしようかだよね..』
『...』
一人、里を歩きながら空を見上げてため息をつくと、山から吹き下ろす冷たい風に髪を遊ばせていた
[それほどショックだったかイ..?]
『..分からない。私の知らない気持ちがどんどん溢れてくるの。モヤモヤしてズキズキ..頭が痛い』
[それは、怒り・悲しみ・苦しみ・絶望が合わさっているんだヨ。信じていたママたちが自分を利用していたことへの..ネ]
『裏切り...』
[そウ。随分前にも言っただろウ?キミの周りは傷つける人しかいないってサ。結局ママ達も、やつらと同じなんダ。だからキミもあんなこと言ったんだロ?]
『...ママ達、怒ってるかな..』
[どうだろうネ。ボクは人間の心は分からないから何とも言えなイ]
『..私、また捨てられちゃう?ううん、私が黒兎だからそれはない...かな』
歩き疲れたのか道の脇の木陰に座り込むと、自嘲の笑みで膝を抱えて俯いた
[ウサギちゃン..キミは本当に哀れな子だねェ。もっと罵倒してやればいいのニ。感情を露にして本音をぶつけてやれば良いものを、キミはいつだってどこか一歩下がっていル]
『そんなこと..ない』
["私の気持ちも知らずにそんな理由で引き取ったなんて最低"ぐらい言ってやればいイ。キミにはその資格があるし寧ろ言うべきダ]
『...』
[怒ることは悪いことじゃないサ。この前の白髪の彼の時と同じだヨ]