第47章 *君臨エンプレス*
ディオン『勿論子供は欲しかったけど、出来ない身体だからってママと離れる理由にはならない。僕はママといつまでもいたいから結婚したんだ』
エミリア『っ..//と、とにかくそういう理由で私達の間には子供はいなかったの。でもやっぱり家族を増やしたくて、それで孤児を預かる施設を訪ねた』
『そこに私がいたの?』
ディオン『そうだよ、そこでレイラに出会った。...初めてレイラを見た時、本当に驚いたよ。あの黒兎がまさかいるなんて..』
エミリア『その瞬間色んな考えが頭をよぎったの。黒兎を迎えれば私達の念願の子供も、黒兎の親としての地位も手に入る..一生埋まることない穴を埋めるように次々に都合の良いことが浮かんだわ』
『....』
ディオン『僕も同じだった。レイラを引き取ってから、外に出さないようにしてたのも、勿論レイラを心配してってのもあったけど、何より他の人に黒兎を奪われたくなかったっていうのもあった』
エミリア『...ごめんなさい。貴女の背負ってきたものも考えもせず、自分達の欲望を満たすためだけに貴女を迎えた。酷い親だって思われても仕方ないわね』
二人の話に、何も言葉を発さないまま表情の読めないレイラに、申し訳なさそうに俯きながら二人は頭を下げた
エミリア『ごめんなさいっ...レイラ』
ディオン『ごめんね、こんなダメな親で..レイラの方が辛い想いをしてるはずなのに』
『.....』
エミリア『言い訳に聞こえるかもしれないけど、今はそんなことないの。貴女を育てているうちに、馬鹿なことを考えてたんだって分かったの』
ディオン『今はもう、レイラは僕たちのかけがえのない大切な子。本当の子供として愛しているんだ。黒兎だからじゃない、一人の人間として愛している』
『...それを、信じろって言うの?』
エミリア『っ...すぐに出来ないことだって分かってるわ。それでも、』
言い終わらない内にレイラは席からガタンと立ち上がると、ふらりと歩き出して部屋から出ていった
エミリア『レイラっ!?どこへ行くの!?』
ディオン『待って!』
『..ママ達も"お母さんたち"と一緒なんだね』