第46章 *邂逅ディープリー*
〔レイラ〕
部屋に入るってすぐにドアを閉める。そして、ドアに背中に預けてズルズルとその場に座り込む
『はぁ...はぁ...』
息が苦しい...心臓も早くて身体も震えてきた
『はぁ...あんなの、聞きたくなかった..』
その日の昼・暁の社
帰る前、私の言葉にみんなが盛り上がっていた時..
?『フィリアスの二人、俺達に命令するなんざ調子に乗りやがって..』
?『落ち着けって。仕方ないだろ?黒兎様の親は俺達より上の立場に昇格されるのが習わしだ』
?『はっ、本当の親でもないくせに良いご身分だぜ。どうせ施設から引き取ったのも、あの子が黒兎様だったからだろ?そうじゃなかったら他の子を選んでただろうな』
?『..まぁ、確かに他にも兎の子供はいたらしいが..黒兎様を選んだのはやはりそういう理由なのかな』
?『黒兎様を選んでおけば、自分達の地位も上がるからな。黒兎様も哀れなもんだぜ..』
部屋の隅で話してた二人のお兄さんたち。他のみんなは盛り上がってて聞こえなかったもしれないけど、私にはハッキリと聞こえた
ママ達を恨むような目で睨んで..怖かった
ううん、それよりも怖かったのはお兄さんたちの言葉だった
『..私を..選んでくれたのは..私が黒兎だから..』
もし、私が黒兎じゃなくて..ただの"兎"だったら
ママ達は、私を選んではくれなかったの..?
そっか...そうだよね...
だって、その方がこの村のためにもなるし、周りの人達より偉くなれるもんね...
ちょっと考えれば分かったことなのに今まで気づかなかったのは、やっぱり私が"何も知らない"から..
『....お水飲んで寝よ..』
頭を冷やしたくて部屋を出ると、ママ達を起こさないように足音をなるべく消して台所へ向かった
エミリア『...私達、あの子に甘えてばっかりね。沢山秘密にしてたこともあったのに、後で説明するって言うとあの子は素直に分かったって言ってくれる』
ディオン『察しも頭も良い子だから。でも、そんな素直なところを見るたびに申し訳なくて仕方ないね』
エミリア『...あの事知ったら、あの子は私たちをどう思うかしら..』