第46章 *邂逅ディープリー*
失礼します、とアデライトへもう一度頭を下げ、3人で外へ繋がる扉へ行こうとした。だが、目の前を塞ぐように村人たちが立ちはだかる
ディオン『どうされましたか?娘はこの通り修行で疲れております。どうか今日のところは..』
?『それは重々承知しています。ですが最後に近くで黒兎様のお顔を..!』
?『私もお願い致します!』
?『俺も是非拝見を!』
詰め寄ってはこないものの、大勢の人間からの視線に戸惑いながらディオンの袖を掴み、すがるように身を寄せると、二人は目線を交わし合い静かにため息をついた
ディオン『..分かりました。ですが娘の顔を見たらすぐにそこを退いて私たちを通してください』
エミリア『黒兎様の負担になるようなことは貴方たちもしたくないでしょう?』
『『『はい!!』』』
ディオン『よろしい。ではレイラ、少しで良いから顔を見せてあげなさい』
『ん..』
ディオンの腕に隠していた顔を覗かせようとしたその時、ふとアデライトとの会話が脳裏によぎる
"だからこの村の兎たちはみな黒兎を神たる先導者として崇め、敬い、畏れ、信仰しているのさ"
"それほど私達黒兎は、みなにとって重要な存在なんだ"
『(そっか...)』
村人たちの信仰の瞳に何かを察し少しだけ笑みを浮かべると、そのままディオンから手を離して一人村人たちの前へと進み出た
エミリア『レイラ!?』
普段なら絶対にしない娘の行動に、二人の表情が驚愕に満ちる
一方レイラは、村人たちに顔をあげて見せるとその目を見つめ小さく頭を下げた
『..レイラ・フィリアス。黒兎としてまだ全然頼りないけど..よろしくね、みんな..』
『『『うぉぉぉぉぉぉ!!!!』』』
?『黒兎様がわざわざ私達に声をかけてくださった!!』
?『なんという清廉なお声なんだ!!』
?『我々の方こそ、黒兎様のお力になれますよう全力を尽くします!!』
エミリア『...驚いたわ。レイラが、あんなことするなんて』
ディオン『僕もだよ。でも凄く凛としていて綺麗だ』