第46章 *邂逅ディープリー*
[...また今度見せてあげるけド。あの後、あそこで何かが起きてキミは保護されたんダ。そして施設に入っタ。そこにキミのママ達が偶然訪れて、キミを引き取って今に至ル。記憶がなくなったのは、恐らくキミの無意識だろうネ]
『ツラい想い出を、なくすために..?』
[そうだネ。記憶についてはボクは干渉してないヨ。だけど少しずつ引っ張りあげる事はできタ。だから事あるごとに返してあげたんダ]
『そっか..ん、分かった』
[もうお帰リ。ここはボクの招きなしでは余り長居していい場所じゃなイ]
再び意識が薄れ始め、レイラはぐらつく世界に目を閉じて、まるで水流に流されるように身体ごと上へと登る感覚に身を任せた
[ついでにこの魔法も返しておくヨ。黒兎が兵器として使われたのもこの力も関係してるからだろうネ。でも、これはとても危険な魔法ダ。下手に使わないことをおすすめするヨ..]
『...はっ...』
意識が戻ると、精神世界に入る前にいたテラス席が目に飛び込み、目の前で座っていたアデライトは、レイラの意識が戻ったことに気づくと、読んでいた本をパタンと閉じてニッコリと微笑む
アデライト『おや戻ったかい。どうだい?話はできたか?』
『ん..色々教えてもらった。力としても一度戻ってもらって、今は黒兎の力を私の意思で出せるみたい』
アデライト『じゃあ早速、修行に移ろうかね。行動は早いに限る』
『よろしく..おばあちゃん』
アデライト『さて、まずは黒兎特有の甘い匂いを薬なしで抑える練習だ。これを修得しないとお前さんの身の危険に関わるからね』
『頑張る..』
アデライト『良い目だ。それと、これはお前さんの大事な人達のためにもなるからね』
そうしてアデライトとレイラによる、黒兎の力を制御するための修行が始まった