第46章 *邂逅ディープリー*
数年前、過去の情景
外では雨が降りしきる中、どこかも分からない古びた倉庫では少女の悲痛な声と数人の男たちの声が響いていた
『ゃ..っ..!!はな..して..っ..!!』
?『暴れるなガキ!!』
『ぅ"ぁっ..!!』
?『おい、取引先はまだか?もう20分も時間を過ぎてるぞ』
?『雨のせいで道が混んでいるんだろう。焦らなくてもサツにはバレてない、のんびり待とうぜ』
?『この仕事が成功すりゃ俺達大金持ちなんだからよ!』
?『まさかこのご時世で黒兎が手に入るなんてな。それも実の親から売られるなんざ、哀れなガキだ』
『っ..ぅ...っぁ!!』
少女は手足を縛られているにも関わらず、尚も身をよじって逃げようとする。だが男たちはそれに気づき、少女を掴むと床に押しつけて拘束した
?『いい加減諦めろ。お前はどう足掻いても売り飛ばされる身なんだよ。安心しろ、今から売られるところはお前みたいなガキが好みの変態野郎だ』
?『小さいうちは性道具に使われて、成長すりゃ今度は戦いの道具行き。どのみちお前は永遠に"道具"として扱われるんだよ』
『ぃ...ゃ...』
どうして..?どうして、私が..こんな..
『なん、で...』
?『あぁ?それはお前が黒兎だからだろうが。黒兎として生まれたからにはどこに行ったってお前は狙われんだよ』
私が、黒兎だから..? お母さんも..お父さんも..私を見捨てたの...?
『ゃ...っ...』
じゃあ私が、黒兎じゃなかったら..こんなことならなかった?お母さんもお父さんも愛してくれた?
だったら..こんな私は欲しくない
"黒兎"の自分なんて欲しくない.."普通"の私になりたい..
こんな..こんな..
こんな"力"欲しくない..!!いらない!!黒兎の力なんて、どこかへ行っちゃえ!!私の中から消えちゃえ!!!
だってそうすれば..こんな目に遭わないでいい。怖い人たちしかいない一人ぼっちの世界にいなくてもいい。みんな..みんな..私を..
愛してくれるでしょ..?