第46章 *邂逅ディープリー*
アデライト『そう..ゆっくり息をはいて。心を落ち着けて、意識を深い海の底に沈めるような感覚を想像して..』
レイラは目を閉じると、アデライトの指示の元、深く深呼吸しては黒ウサギとの対話を行うための精神統一を行っていた
『ふぅ...』
アデライト『底に沈めばきっと黒ウサギの声や気配を感じ取れるはずだよ。そこからはお前さんの精神世界だ、私は助けてはあげられない。頑張るんだよ』
『ん..』
深い海の底を意識していくと、次第に身体が沈んでいくような感覚に包まれ、先ほどまで聞こえていた風や草木の揺れる音、アデライトの気配や声さえも遮断された
[!!..ウサギちゃン..?]
知った声に目を開くと、そこは真っ暗な世界が広がるだけで誰の姿も見えなかったが、そこに気配はしっかりと感じた
『お話ししに来たの..』
[まさかボクの方から招いていないのに入ってこられるなんテ..あのウサギのご婦人、厄介だねェ..]
『教えて、貴方は何なの?どうして私を苦しめるの?』
[...はァ..仕方なイ。お望みのままに、お嬢様..]
まぁ、そこに座りなヨ、と促されその場に腰を降ろすと黒ウサギは予想外の訪問に少し不服そうに口を開いた
[それデ?まずボクが何者かって話だったネ。あのご婦人の言うとおり、ボクは君の持つ黒兎の力そのものさ]
『どうしてそんなことに..?おばあちゃんは、こんなこと今までなかったって..』
[だろうネ..力とは本来、意思なんて持たないからね。どうしてボクがこうなったか分かるかイ?]
『..分からない』
[ここらで教えておいてあげるヨ。ボクが意思を持ったのは、君の過去が関係してるんダ。あの日、キミを傷つけてどこかへ売り飛ばそうとしていたやつらがいただろウ?その時キミは願っタ..]
『願った..?なにを..』
[....]