第45章 *ホリデー後半編~黒の先導者~帰郷ホームタウン*
~黒兎の魅了について~
黒兎の力を持つ者は、心の成長がある程度までいくと特有の甘い匂いを発し始める。それは本人の心身が成長するたびに強さを増していく
匂いは基本的には甘く、場合によっては他者ごとに変わり、その人物の最も好む匂いへと変化する
そしてその匂いを嗅いだのが異性ならば、まず性的な感情を引きずり出し自身に惹き寄せる。そこから本人の関わり次第でその人物との関係性は何通りにも分かれる
ちなみに同性であれば、好意的な感覚を与えるだけである
アデライト『お前さんの場合は、魅了の後その人達とちゃんと心から信頼し合える友好関係を築いてるみたいだから、そんな不安そうな顔するんじゃないよ』
『..良かった。みんなが私に優しくしてくれてるの、黒兎の力だけのおかげかと思った..』
アデライト『黒兎の力だけなら、相手はお前さんの体目的だけっていう態度がもっとあからさまで分かりやすいんだ。でもこれはハッキリと言える。周りのお友達は本気でお前さんを愛し、共にいたいと思ってるさ』
『そっか..安心した』
黒兎は魅了された人物に対し、望むがまま、または無意識の内に自らを守らせようという意識を植え付ける。それはその身が危険であればより強まる
見返りに、黒兎は周りの人間に知識を授け、時には魔法を使い助けたりもして、兎の一族は特にその恩恵を強く受けたおかげで繁栄を続けてきた
アデライト『だからこの村の兎たちはみな黒兎を神たる先導者として崇め、敬い、畏れ、信仰しているのさ』
『私も..いつかおばあちゃんみたいに、この村の人に敬われる神様になるの?』
アデライト『この村だけじゃないさ。他の人種にも黒兎を崇める者はいるよ。でも、黒兎としてこの村で囲われて過ごすのが嫌なら、どこか違う場所へ行くのも全然良いと私は思うけどね。お前さんの人生だ、お前さんの好きに生きるのが一番だよ』
『ん..』
アデライト『でも1つ、忠告をしておくよ。どこで過ごすにしても、お前さんはひっそりと生きなくてはいけないよ』
『どうして..?..ぁ..黒兎は貴重、だから..?』
アデライト『そう。お前さんが見た過去の記憶に出てきた男たちも言っていただろう?"どこに売っても高値..貴重な兵器"だって』
『あれ、どういう意味なの?』