第45章 *ホリデー後半編~黒の先導者~帰郷ホームタウン*
エミリアたちが出ていったことで、部屋には女性とレイラの二人だけとなり、謎の緊張感がレイラを強ばらせる
?『さあ、こっちにおいで』
女性に手招きされ躊躇しながらも近づくと、遠目で見ていた女性の姿がハッキリと目の前に現れる。その女性はレイラと同じ黒髪黒耳、そして深紅の瞳をした老齢の黒兎だった
『おばあちゃんも黒兎?』
?『おばあちゃん?ふふ..そうさね、私もお前さんと同じ黒兎の力を持つ者。
名前はアデライト。アデライト・ルーファス。よろしくね、未来の先導者』
『私はレイラ..よろしく、アデライトさん』
アデライト『おばあちゃんでいいさね。私には孫がいなくてね。良かったら私の孫として接しても良いかい?』
『ん..いいよ。私もおばあちゃんいないから、アデライトさんがおばあちゃんになってくれたら嬉しい』
初めて会ったにも関わらず、同じ黒兎ともあってかレイラはアデライトに心を許し始めていた。ふわりとした笑みを浮かべると、アデライトも上品に微笑んだ
アデライト『可愛い子だね。これは周りの男たちが黙ってないだろう。そういえばお前さん、今あのナイトレイヴンカレッジに通ってるんだってね?』
『ん。毎日楽しいよ』
アデライト『そりゃ良かった。お前さんのことは両親から聞いてるよ。優しくて強い、天使のような子だって』
『えへへ..嬉しい..』
アデライト『さて、立ったままじゃあれだから移動しよう。手をお出し』
アデライトの差し出した手を掴むと、一瞬のうちに景色が移り変わり、外のテラス席のような場所に瞬間移動していた
『わ、すごい..』
アデライト『ふふ、ちょうど紅茶が良い具合に出来上がったところだ。飲みながらお前さんの話を聞かせておくれ』
暁の社・外庭
『それで昨日やっとお家に帰ってこられたの』
アデライト『成る程、随分と忙しい毎日を送ってるみたいだね』
『でもみんな優しいし、知らなかったことがどんどん分かってきて..色んな経験ができた』
アデライト『それは良いことだ。今のお前さんに必要なのは、世を知り己を知り他者を知ることだからね』
アデライトは本当の孫のように、レイラの話を楽しそうに聞きながら時折紅茶を啜っていた