第45章 *ホリデー後半編~黒の先導者~帰郷ホームタウン*
パサッ..
『『『お..おおおーーーーっ!!!』』』
言われるままにフードを取ると周りから感嘆の声が次々と上がり、中には涙を浮かべたり手を合わせて拝む者もいた
?『素晴らしい!あの漆黒の髪と耳に、血を垂らしたような深紅の瞳!!』
?『間違いなく黒兎様だ!!』
?『ああ..何とも愛らしく神々しい..』
?『これで我らのこれからは変わらず安泰だ!』
突然歓喜に騒ぎだす人々に、レイラは訳も分からず立ち尽くしていた
すると、
ガチャ..
?『黒兎様、どうぞ奥の部屋へとおいでください』
部屋の奥の扉が開くと、周りの者よりも上物のローブに身を包んだ男が一人、レイラの前に現れる
『ぇ..と..』
エミリア『大丈夫よ。ママたちもついてるから』
ディオン『行こうか』
両親に背を押されるままに、レイラは奥の部屋へと誘導されていった
暁の社・黒兎の間
そこは先程の部屋よりも静かというより、厳かな雰囲気が漂っていて、ピンとした空気に違う意味で恐れを感じた
誘導してきた男と同じ服の人間が数人壁沿いに並び立ち、その奥には玉座に腰かける一人の女性がいた
?『お連れしました』
?『ご苦労。みんな下がっていいよ』
『『『はっ...』』』
男たちは女性に頭を下げると一斉に部屋を退出していった
?『さて、フィリアス夫妻。その子が新たな黒兎だね』
エミリア『はい。私達の自慢の娘です』
ディオン『最近黒兎の力が目覚めたばかりなので、今日の会合を機に貴女様にご相談できればと』
?『ふむ..成る程ねぇ。いいよ、私も気になっていたところだ。悪いけどその子と二人きりにしてくれないかい?』
エミリア『はい』
『ママ、行っちゃうの..?』
不安そうな目で見上げるレイラに、申し訳なさそうに二人は眉をひそめた
エミリア『ごめんね。でもあの御方は優しくて暖かい人だから大丈夫』
ディオン『絶対怖いことないから』
?『そうさ。取って食おうなんて思ってないよ』
『...怖い。でも、頑張る』
エミリア『良い子』
ディオン『では失礼します』
二人も頭を下げると、レイラの頭を一撫でして部屋を静かに出ていった