第45章 *ホリデー後半編~黒の先導者~帰郷ホームタウン*
月兎の里・暁の社
暫く歩くと他の家よりも一際大きな木造の館の前に到着した
『ここが、お出掛け先?』
エミリア『そうよ。まだフードは取らないでね』
『ん』
ディオン『あと、今から入るここには知らない人がいっぱいいるんだ。怖いかもしれないけど、頑張って。大丈夫、パパたちが側にいるからね』
『..分かった、頑張る』
互いの手を少し強めに握ると、三人はその館の扉を開けた
そこは豪華な内装がきらびやかに輝き、何十人もの兎の獣人が賑やかに談笑していた。その全ての人が、エミリアたちと同じ黒いローブを身に纏っていた
予想よりも多い人数に恐怖心が込み上げるが、両親に体を寄せながら何とか中へと進んでいくと、三人に気づいた周りの視線が一気に集中し、談笑していた声もピタリと止んだ
?『おお!!これはこれはフィリアス夫妻。はっ!そこにおられるのがご息女ですか!?』
集団の中から突然、興奮気味に近づいてきた男がレイラに気づくと更に息を荒くする
?『ぜ、ぜひご尊顔を..っ!!』
『ひっ...!..ゃっ..!』
目をギラギラさせながら手を伸ばす男に、全身の毛が逆立つような恐怖に怯え、両親にすがり付くと、男の伸ばした手はパシンッ!!と音を立てて叩き返された
?『なっ..!』
ディオン『うちの娘にそのような手で触れないでいただきたい』
エミリア『それに、この子は私達の新たな神たる先導者。無礼にもほどがあるわ..身の程を弁えなさい』
ギロッと男を含め周り全てに睨みを利かせると、足早にその場を去り、部屋の奥の小さな舞台のような高座へと登る
すっかり黙り込んでしまった彼らに向き直ると、二人は声高に宣言するように声をあげた
エミリア『本日は新たな我らの神たる先導者を皆様にご紹介します』
ディオン『遅くなりましたことをお詫び申し上げますが、先日力に目覚めたばかりということで、何卒ご理解をお願いします』
エミリア『レイラ、フードを取って..』
『..ん..』