第45章 *ホリデー後半編~黒の先導者~帰郷ホームタウン*
ディオン『これが、レイラの晴れ着姿..可愛いぃぃぃぃ!!可愛いよレイラ!!可愛いのに大人っぽくもあって、最高だ!!出掛ける前に写真撮らせて!!』
そう言うと部屋からカメラを持ってくると、パシャパシャと連写し出すディオンに、エミリアはただ溜め息をつくしかなかった
エミリア『まったく..後でちゃんとプリントしなさい』
ディオン『勿論!!』
エミリア『ごめんねレイラ、いきなり式典服を着ろなんて言って。貴女の晴れ着姿を見たかったのもあったんだけど、これから行く場所には黒くて長めの服を着て行くのがしきたりだから..』
『式典服がちょうど良かったんだね。だからママもパパも黒い服なんだ』
二人は、裾に深紅の彼岸花が刺繍されている上品なフード付きのローブに身を包んでいた
エミリア『そろそろ時間ね、行きましょう。すぐ近くだから歩いていくけれど、1つお願いがあるの』
『なぁに?』
エミリア『家を出てからママが良いと言うまで、フードを深く被って顔を見えないようにしてほしいの』
『どうして?』
ディオン『道中大騒ぎになっちゃうかもしれないからね。まぁ、どうせ着いたら結局大騒ぎになるんだろうけど』
『???』
エミリア『後でちゃんと話すから..お願い』
真剣な瞳で頭を下げられ、レイラは少し困ったように笑いながら"分かったよ"と頷いた
ディオン『ありがとう、優しい子だな。さあ、行こうか..』
家族に連れられながらレイラは、ほぼ初めて見る家の外の景色に忙しなく目をキョロキョロと動かした
月兎の里と呼ばれるそこは、小高い山の上にのどかな田園風景が広がる緑豊かな里で、一歩山を降りればすぐそこには都会が広がっていた
整備された道を歩いていると、時折農作業をしている兎の獣人が何人かちらちらと三人を見つめながら、小声で何かを話していた
『近所だけかと思ったけど、もしかしてここ..私達みたいなウサギしかいないの?..あと、何か嫌がられてる気がする』
エミリア『ここは月兎の里、名前の通り兎の獣人だけが住む里なのよ。まあ、他の国にも兎はいるけれど』
ディオン『それと、嫌がられてはいないよ。この格好だから少し珍しがられてるだけだから』
『そっか..』