第44章 *終曲スカラビア*
ご馳走と聞いてグリムのテンションは一気に上がり、ゴースト達を連れていち早く寮へと走っていってしまった
『グリム、よく食べるね』
ユウ『夜になればお腹もすくよ。さ、僕らもご馳走を見に行こうか』
『ん』
そう言って歩きだしたその時、突然ユウたちの目の前に逆さづりに顔を覗く影が1つ
リリア『..おお、戻ったか』
ユウ『うわーー!!びっくりした!』
思ってもないところから現れたリリアにユウは尻餅をついて驚き、レイラは驚きつつもその場で立ったままだった
『えっと..ディアソムニアの..可愛いコウモリさん?』
首をかしげながら尋ねると、リリアは軽く身を翻し地面に着地すると、幼さの残る顔をニコニコとさせた
リリア『おぉ、わしを可愛いとな。良いぞ良いぞ、よく分かっておるではないか。お主もわしに負けず劣らず愛らしいぞ、黒ウサギの末裔よ』
『..私が黒ウサギだって知ってるの?』
リリア『うむ。お主以外の黒ウサギを見たこともあるし、何よりその纏わせる甘い匂いが何よりの証拠じゃ』
ユウ『リリアさん..って、ディアソムニア副寮長』
リリア『いかにも、わしはディアソムニアの副寮長。リリア・ヴァンルージュじゃ。今日はお主らにさるお方からのホリデーカードを届けに参った』
制服の懐から三枚の手紙を取り出すと、一枚をユウに二枚をレイラに手渡していった。それは上品な素材で出来た手紙で、いかにも高級品というのが目に見えた
リリア『今年のホリデーも誰からもパーティーに招かれず拗ねておったようだが..いずれお主が仲間とパーティーを開くことがあれば、あやつも招待してやってくれ』
『コウモリさん、私だけ二枚あるのはどうして?』
レイラのもつ手紙には、ユウと同じ物とコウモリのマークがついた物と二つ握られていた
リリア『ああ、そのコウモリの印が施されているほうは、わしからじゃ。風の噂で聞いたが、お主..明日には実家に戻るそうじゃな』
『そう、だよ?』
リリア『もしそこで、アデル..アデライトというおなごに会ったら、それを渡してほしい。わしの知り合いが、どうしてもそやつにこれを渡してほしいと言うもんでな』
『アデライト..さん?分かった。会えたら渡しておくね』