第44章 *終曲スカラビア*
フロイド『ほら小エビちゃん、手ぇもっと伸ばさないと進まないよ』
ユウ『ぷはっ!』
『ユウ、頑張れ..』
フロイドによる水泳指南を受けているユウと、足だけ水につけながらそれを見守るレイラの前に、水着姿のエースたちが現れる
エース『よぉし、一旦戻って水着もって着替えてきたし、オレらも泳ぐぜ!』
デュース『レイラは泳がないのか?』
『ん。私、水着ないから..それに、』
アズール『ええ。彼女の水着姿、こんなにも大勢の前に晒したくないでしょう?』
デュース『まあ、確かに。きっと凄く可愛いだろうから....っ//!!』
エース『あ、今想像したろ?きゃーデュースくんったら~♪』
デュース『べ、別に変な風に考えてないからなっ//!!』
『んふふ..ん?』
エーデュースコンビのやりとりにクスクス笑っていると、視界の端に宴の輪から外れ、一人で木陰に腰を下ろすジャミルが映る
レイラはそっとその場を離れると、ジャミルの元へ行き何も言わず隣に座った
『..隣いい?』
ジャミル『もう座ってるだろ』
『えへへ..』
悪びれもなく笑うレイラに軽くため息をつくと、少し体を外側にずらして座り直した
ジャミル『もう少しこっちに寄れ。そこだと日差しが当たるぞ』
『ありがと』
ジャミルの好意に感謝しながら体を寄せると、目の前で年相応にはしゃぐユウたちや寮生たちを慈愛に満ちた目で見つめる
『..みんな、幸せそう』
ジャミル『あんなことがあったっていうのに、どいつもこいつも能天気な奴等ばっかりだ』
『ヘビさんは楽しくないの?』
ジャミル『お前、俺をハメておいてよく言うな。綿密に立てた計画が全部パァ..おまけに全世界に配信までされて..はぁ..』
『でもスッキリしたでしょ?ずっと思ってたこと言えたし..それに、ヘビさんが無事だったから今こうやってみんなが笑ってられるんだよ』
ジャミル『...』
『ヘビさんがあのまま死んじゃったら..カリムさん、自分のせいだってずっと責め続けて、泣いちゃうよ』
ジャミル『生きてても泣いてたけどな..ふ、まぁそれはそれでざまぁみろだ』
『私も泣いちゃう..』
ジャミル『っ...』