第44章 *終曲スカラビア*
言い終わらない内に勢いよく抱きつかれ、エースはドサッとシートの上に押し倒された。上から強く抱き締められ、首もとにスリスリ額を擦り付ける仕草に、エースは戸惑いを隠せないでいた
エース『へ?は?本当にどうした?』
『..と』
エース『え?』
『来てくれて..っ..あり、がと..っ..』
消え入りそうなか細い声だったが、しっかりエースの耳には届いていた。震える声にレイラがどれだけ自分たちを思っていてくれたか、どれだけスカラビアで大変なことがあったのかを、彼は一瞬で感じ取った
エース『..オレらいなくて寂しかった?』
『..ん..』
エース『来てくれて嬉しい?』
『..ん..』
エース『オレらいない間、大変だったんだな』
『..ん..』
エース『そっか。頑張ったなレイラ』
優しく抱き締め返して髪を撫でると、体を起こして正面からレイラの顔を覗き込む
エース『目元真っ赤。相変わらず甘えん坊で泣き虫だなぁ..でも、そんなところも好きだけど』
『ぅ..っ..キス、して..』
エース『はいはい』
軽く触れるキスをすると嬉しそうに微笑み、お返しにとキスを返される
デュース『レイラ』
デュースも隣に座り込んで手を広げると、同じように抱きつき首もとに擦りついてキスをせがんだ
『デュース、ありがと..来てくれて本当に嬉しい..っ..』
デュース『..心配したんだ。ユウからメッセージが来たのも驚いたが、お前から来たときは本当に焦った。連絡がとれなくなって、無事なのかどうかさえも分からなくて..怖かった』
『ごめん..ごめんね。でも、私は大丈夫』
デュース『ちゃんと何があったか話してくれるか?』
『勿論』
エース『オレも聞きたい』
『じゃあ、ご飯でも食べながら話そ?』
グリム『ならオレ様の武勇伝と一緒に話してやる』
ユウ『それはいらないかなぁ..』