第44章 *終曲スカラビア*
二人がコソコソと話している間に、アズールがジャミルの本性を気に入ってオクタヴィネルへの転寮を勧誘したが、"胡散臭い"と見事に断られていた
ジェイド『おや、言われてしまいましたね』
アズール『ふふ、構いませんよ。今回は僕の秘密コレクションに新たな真実が1つ追加されたことで良しとしましょう』
『アズさんの"人の弱点コレクション"ね』
アズール『おっと、そうでした。レイラさん、僕は貴女もオクタヴィネルに転寮してほしいと思っていたんですよ』
『私に?』
アズール『ええ。今回の作戦でジェイドと組んだ時も、僕と組んだ時にも感じたのですが、貴女と僕らはとても呼吸が合うようです』
グリム『確かに操られたフリ作戦のレイラ、なんかアズールみたいな性格の悪さだったんだゾ』
アズール『入学式で聞きましたが、貴女の魂の資質は決まった形がない。どこの寮にも染まる無色そのもの。ならば僕らの元に転寮しても問題ないでしょう?』
どうです?と手をとって優しく微笑むアズールに、レイラは"う~ん"と考えた後、手を握り返しそっと首を横に振った
『ううん、転寮しないよ。私はオンボロ寮の生徒だし、あの寮が大好きだから。ごめんね』
アズール『..そう、ですか..残念ですね。ですが、これからも変わらず遊びに来てくださいね』
『勿論』
ジャミル『ふん、ざまぁないな..ここで全員に言っておくぞ、もう俺は遠慮しない。カリムにも、お前らにも、誰にも。二度と勝ちを譲ってやるつもりはない』
カリム『..ああ!オレも絶対に負けないぜ!』
ジャミルに笑いかけるカリムの笑みは、あれほど酷い裏切りにあったにも関わらず、いつもと変わらない、寧ろいつも以上に晴れやかで清々しい輝きを放っていた
『カリムさん、いい顔してる』
ユウ『なんだかんだ、一件落着って感じだね』