第44章 *終曲スカラビア*
ほの暗い過去の記憶の海に浸っていたジャミルは、最も聞き覚えのある、大嫌いな相手の声でゆっくりと意識を浮上させた
カリム『ジャミル..ジャミル..!!』
ジャミル『う..ここは..』
アズール『良かった。何とか正気を取り戻したようですね』
グリム『ふな"ぁ..暫くあのバケモンの夢見そうなんだゾ..』
カリム『じゃ..じゃびる..』
目を覚ましたジャミルに感極まったのか、うわぁぁぁ!!と目いっぱいに溜めた涙を流しながら、カリムは大声で泣き出した
フロイド『ラッコちゃん、全然言葉喋れてねーじゃん』
ジェイド『一発殴ってやると言っていたのも、すっかり忘れていますね』
カリム『い、生きててよかった..いぎででよがっだ..』
ジャミル『..お前はどうしてそう..はぁ..』
カリム『オレ、オレ..うっ、お前がどんな気持ちで過ごしてきたか知らなかった。ず、ずっと、ズビッ..我慢させてたことも、ひぐっ、ぜんぜん、知らなぐで..』
アズール『その結果が、この手酷い裏切りですよ』
フロイド『そーだよ。ウミヘビくんは内心ず~っとラッコちゃんのことバカにしながら生きてたんだよ』
グリム『お前ら、オレ様より空気読まねぇんだゾ!』
『まぁ、ホントの事だけどね..』
ユウ『こら』
カリム『お前は、ひ、ひどいやつだ..だけど、やっぱりずっとオレを助けてくれてたのも、お前なんだ』
ジャミル『カリム..』
カリム『だからもう、今日からやめよう。親の地位とか主従関係とか、そういうことで遠慮するのは』
ジャミル『..は?』
カリム『今日からは、遠慮なしで本気で一番を奪い合うライバルになろう。改めて、対等な立場で..友達になろう、ジャミル』
握手を求めるように手を伸ばし、ニコッと笑いかけるカリム。その笑顔とかけられた言葉に目を丸くしながら体を起こすと、差し出された手をまじまじと見つめてはフッと笑う
ジャミル『対等な立場で、友達に..?ふ..お前らしい結論だな、カリム..なら、対等な立場で言わせてほしい』
あぐらをかいてカリムに向き直ると真剣な顔つきになるジャミルに合わせて、カリムも衣住まいを正す
ジャミル『絶っっっっっ対にお断りだ!!!』