第43章 *空漠オーバーロード*
氷の華はジャミルと魔人からブロットを吸い上げ始め、その透明で美しい結晶を黒く染め上げていく
ユウ『やった!成功した!』
アズール『これが例の氷魔法..なんて、美しい..』
ジェイド『本当にブロットを吸い上げれるなんて』
フロイド『キラキラしてるのが黒く汚れてきて勿体ない気もするけどねぇ』
カリム『すげぇ、すげぇよレイラ!..誰かを助けるためのキレイな魔法かぁ。レイラらしいな』
グリム『よくやったんだゾレイラ!』
『ありがと...ふぅ..』
成功の安堵にはいた息は、魔法の影響か白い吐息となって宙に溶けていった
一方、氷に閉じ込められた魔人は、ブロットが吸いとられていくと同時に姿が薄れ、やがて跡形もなく消えていった
グリム『見ろ!あのおっかねぇバケモンが消えたんだゾ!』
カリム『良かった。後は..』
ジャミル『くぅっ..力が..』
氷に拘束され、力を失い始めているジャミルにはもう抵抗する余力もなく、ただ俯くことしかできなかった。そんな彼の目の前にレイラは歩み寄ると、両手でそっと顔を上げさせて覗き込む
『ヘビさん..』
ジャミル『これで一番に..自由になれると..思ったのに..』
『うん..ごめん。でも、ほっとけなかったの。今のヘビさんは嫌いって言ったけど..それでも、私は..あれ?』
いつの間にかジャミルは気絶したのか、目を閉じて力なくダラリと項垂れていた
『おやすみ..』
優しく彼の頭を撫でていると、ブロットを吸い終わった氷がバキっと音を立てて崩れ始めた
そして割れた中から出てきたジャミルをカリムとレイラが同時に受け止めると、カリムは泣きながらレイラに微笑んだ
カリム『ありがとうな..レイラ。ジャミルを、助けてくれて..』
『良かったね、カリムさん』