第43章 *空漠オーバーロード*
グリム『で、でた。ユウのキツイつっこみ』
フロイド『あー、でもオレも小エビちゃんと同意見。ラッコちゃん、良い子過ぎるっていうか..なんつーか、ウザイ』
カリム『え、ウザ..?』
突然の厳しい言葉にカリムの目からは涙が引っ込んでいた
ジェイド『そうですねぇ。もし僕があんな裏切りかたをされたら..持ちうる語彙の限りに罵って精神的に追い詰め、縛って海に沈めますよ。それを自分のせいだなんて、いいやつを通り越してちょっと気持ち悪いです』
カリム『気持ち悪..いや、でも。ジャミルは絶対にオレを裏切ったりはしないはず..』
フロイド『いや、めっちゃ裏切ってんじゃん。しかもラッコちゃんに罪を擦り付けて追い出そうとしてたとか、マジでサイテーじゃん』
ジェイド『卑劣さのレベルで言えば、アズールと比べても見劣りしません。自信をもって"裏切り者!"と罵っていいと思いますよ』
ユウ『どんな自信ですか..』
アズール『カリムさんの他人を信じきった良い子ちゃん発言は、僕やジャミルさんのようにひねくれた..いえ、計算で生きてきた人種からすれば、チクチクと嫌みを言われている気にすらなります
小さい頃からずっとそうやってジャミルさんを追い詰めてきたんですね、貴方』
アズールの冷えた目が真っ直ぐにカリムを貫く。だが、すぐにいつもの愛想の良い笑みへと変わる
アズール『ですが、貴方は何も悪くありません。貴方は生まれながらに人の上に立つ身分であり、両親や身の回りの人間から一心に愛情を受け、素直に真っ直ぐ育った。それゆえに、無自覚で傲慢である..というだけですから』
ジェイド『カリムさんの場合、生来天真爛漫な性分でいらっしゃる気もしますが』
カリム『..そうか。ジャミルは、悪いやつ..なのか』
ユウ『それもめちゃくちゃ悪いやつです』
カリム『それなら、早く帰らなくちゃ。あいつを殴って、"裏切り者!"って言ってやらないと』
拳を握りしめるカリムの瞳にはもう迷いも悲しみもなく、ただ彼を救って真っ当に糾弾するという確固たる意志の光が宿っていた
グリム『一発じゃ足らねぇんだゾ!更にオアシスまで10往復行進させてやるんだゾ!』