第43章 *空漠オーバーロード*
スカラビア寮・砂漠の果て
一方、ジャミルによって吹っ飛ばされたユウたちは、上空を暫く飛んだ後、雪景色の広がる謎の不毛の地へと墜落した
グリム『いてて..なんか最近こんなのばっかりなんだゾ~~』
ユウ『かろうじてなんとか生きてるけど..』
アズール『随分と遠くまで飛ばされたようですね』
フロイド『うへぇ、マジで寒いんだけど..!流氷の下みてぇ』
口から漏れる白い吐息に全身ぶるりとさせて震えるフロイドの傍らで、ジェイドは倒れたままのカリムを抱き起こして声をかけていた
ジェイド『カリムさん、カリムさん、ご無事ですか?しっかりなさってください』
カリム『う..うぅ..ここは..』
ジェイド『良かった、気づかれましたね。どうやら、スカラビア寮のある時空の果てのようです』
アズール『グリムさんは毛むくじゃらですし、僕達人魚はある程度寒さに強い身体ですが..ユウさんとカリムさんは長時間ここにいるのは命の危険が伴いそうな寒さだ』
ジェイド『箒も絨毯もありません、飛んでいくことはできません。どう致しましょうか』
フロイド『だるいけど、歩いて帰るしかなくね?』
アズール『吹き飛ばされて着地するまでかなり滞空時間が長かった。徒歩で帰るには何十時間かかるか..』
はぁ、とため息をつくとフロイドの声に落ち着かないと感じたアズールは、契約書を破り破棄して元に戻させていた
アズールと契約なんて、とジェイドの嫌がる態度にアズール本人が異議を申し立てていると、ずっと黙っていたカリムが突然涙声になりながら、地面の雪に手をつきながら悲しげに呟いた
カリム『う、うぅ..っ..うう、ジャミル..信じてたのに..』
フロイド『あれ、ラッコちゃん泣いてんの?涙凍るよ』
カリム『オレのせいだ..!知らないうちに、ジャミルのことを追い詰めちまってた。ジャミルは、本当はあんなことするようなやつじゃない!いつもオレを助けてくれて、頼りになるいいやつで..っ』
ユウ『そういうところが彼を追い詰めたのでは?それに、いいやつは友達を飛ばしたりしません』
カリム『え..?』