第43章 *空漠オーバーロード*

オーバーブロットしたジャミルを元に戻すために、アズールたちはペンを片手に戦っていた。だが魔人が繰り出す多彩な攻撃に苦戦を強いられていた


その中で、特に彼を正気に戻したいという想いが強いカリムは、何度も必死に声をかけ続ける


カリム『やめてくれジャミル！このままじゃお前は！』


ジャミル『うるさい！お前の声なんて聞きたくないんだよ！！』


ジャミルの魔人が手から巨大な火の塊を生み出し、カリムめがけて放っていく


アズール『危ない、カリムさん！！』


咄嗟にカリムの前に飛び出したアズールが間一髪で水魔法によって真っ二つにして打ち消すが、分かれた火の塊は周りの壁に当たってその場を焦がしていく


フロイド『うへぇ～あれ当たったら超熱そう』


ジャミル『火傷じゃ済まない強力な魔法です。みなさん、ご注意を』


カリム『わ、悪い、アズール』


アズール『彼の突然のカミングアウトに放心するのは分かりますが、今はしっかりしてくださいね！』




『ユウ、大丈夫？』


ユウ『大丈夫。レイラも気を付けてね』


グリム『炎の魔法ならオレ様だって負けてないんだゾ！ふな"ぁ～～！！』


得意な蒼炎を吹き出し、ジャミルの足元を囲うように高く火柱を上げていく


ジャミル『っと..ははは！こんな炎、熱くもなんともない！！』


ジェイド『ですが一瞬でも身動きを封じることはできます。みなさん、一斉に攻撃を！』


ジェイドの掛け声で全員得意な魔法をジャミルに向かって放つ。それは大きな一つの魔法へと集束し、ジャミルに直撃した


ジャミル『ちっ！！っ、生意気なやつらだ！！邪魔ばかりしやがって..だったらこうしてやる！』


魔人の手から黒く淀んだモヤが作られると、それは帯状に勢いよく放たれ、アズール達をぐるぐると取り囲んで抵抗する暇もなく体に巻きついた


ユウ『うわわわ！！』


グリム『ふに"ゃ！？なんだこれ！身動きが取れねぇんだゾ！』


アズール『くっ..！』


『ぁぅ..動けない..っわ！』


アズール達がモヤによって拘束され、一ヶ所に固められる中、突然レイラの体が浮かび上がり、魔人の手の中に収まるように引き寄せられた