第42章 *敏腕アシスト*
ジャミル『..なにっ!?』
アズールはくるりと体をジャミルに向き直る。その瞳にはもう鈍い赤い光は灯っていなかった
アズール『ジャミルさん。先程のお言葉、そのまま貴方にお返ししますよ。僕を"傲慢な魔法士"と思って油断していましたね。熟慮の精神をモットーとするスカラビアの副寮長ともあろう者が、ざまぁない』
ジャミル『どういうことだっ?確実に目を見て、洗脳したはず..!』
アズール『僕はいつでも万全の対策を練ってから行動を起こす、堅実な魔法士ですから。ねぇ、フロイド』
横目で後ろに目を見やると、ジェイドたちの横にフロイドが現れ並び立つ
フロイド『ウミヘビくんさぁ、ちょっと油断すんのが早かったんじゃない?』
だがフロイドの声はいつもの高い声ではなく、まったく別人といっても過言ではないほどの地を這うような低音だった
グリム『ふな"っ!?おめー、なんだその声!?』
フロイド『オレ、アズールと契約してこの低い声をもらったんだぁ。どお?渋くていいでしょ。代わりにぃ、オレの自慢のユニーク魔法"巻きつく尾"をアズールに差し出した』
アズール『フロイドのユニーク魔法"巻きつく尾"は..相手の魔法を妨害し、矛先を逸らすことが出来る魔法なんです』
ユウ『珊瑚の海の時の..それで洗脳魔法を逸らした!』
アズール『ユウさん、ご明察です。僕はフロイドから巻き上げた..もとい、担保に預かった"巻きつく尾"を使いジャミルさんの洗脳魔法を回避した。そして、操られたフリで油断したジャミルさんから真相を聞き出した..というわけです』
グリム『さすがアズール!むちゃくちゃ性格わりぃんだゾ!』
アズール『頭脳派と言ってくれませんか。ま、カリムさんがジェイドのユニーク魔法にも屈さないほど強く想う相手など彼しかいないだろう..と、予想がついていたからこそ立てられた作戦なんですがね』
グリム『ん?でも待てよ?逸らしたってことは、その洗脳魔法はどこに行ったんだゾ?』
アズール『...それは..』
得意気に喋っていたアズールが突然顔を曇らせると、その視線の先には未だにジャミルの腕の中にいるレイラがいた
グリム『え..ま、まさか..』
ユウ『レイラに..向かってった..?』