第42章 *敏腕アシスト*
フワッと纏う雰囲気が明らかに変わったジャミルに、アズールたちに冷や汗が伝う
アズール『ジャミルさん、急にどうしたんです?僕、何か気に障ることでも..?』
ジャミル『本当に分からないのか?この俺の、悲しい顔を見ても?』
アズール『え?』
声を震わせて俯くジャミルに、心配したアズール達が近寄り覗き込む。その瞬間、ジャミルは顔をゆっくり上げてその口元に笑みを浮かべる
ジャミル『ーーー俺の目を見たな、馬鹿め。"瞳に映るはお前の主人。尋ねれば答えよ、命じれば頭を垂れよ..蛇のいざない(スネーク・ウィスパー)"』
ホワンと波打つ音にレイラは誰よりも反応し、身構えようとしたがそれより早くジャミルの魔法は二人に干渉していく
アズール『なにっ!?..うぅっ、頭が..っ!』
『ぁ"ぅ..っ..!』
強制的な干渉に脳が揺さぶられ、抵抗しようとすると更にぐらつきが激しくなり、二人の表情が苦しみに満ちる
ジャミル『抗えば苦痛が長引く、さっさと諦めて従うんだーーさあ!』
アズール『うぅ、う...』
『ゃ..だ..』
暫くして苦しむ声が聞こえなくなり、干渉に成功したのを確認すると、ジャミルは笑みを浮かべたまま二人に問いかける
ジャミル『..アズール、お前の主人の名は?』
アズール『僕の主人は..貴方様です、ジャミル様。なんなりとご命令を..ご主人様』
苦しみから閉じていた瞳が開かれていくと、アズールの目にカリムと同じような鈍い赤い光が灯っていた
ジャミル『ふ、はは..ははは!俺を"平凡な魔法士"と思って油断していたな。オクタヴィネルの寮長ともあろう者が、ざまぁない。さて、』
ジャミルは次にレイラに目を向けると、手を伸ばしてレイラの横髪をサラリと撫でる
ジャミル『次はお前だ。さあ、お前の主人の名前を言ってみろ、レイラ』
『私の..主人..は..』
さ迷わせる虚ろな目がジャミルの姿をとらえると、うっとりとした表情で、髪をすく手に自身の手を添える
『ジャミル様..だよ』
スリっと甘えるように手にすり寄り、上目で見上げる。そんな愛らしい仕草にジャミルは気分を良くして空いている手でレイラの腰を引き寄せる