第6章 *不本意トラベル*
〔ユウ〕
『ただいま...』
あの子は小さな声だけど、僕達以外は誰もいない(ゴーストはいるけど)寮にはよく響く
あぁ...やっと帰ってきてくれた...
ガチャ...
『ただいまユウ』
ユウ『おかえり...遅かったね。心配したんだよ?』
『ごめん...』
シュン...と落ち込む姿さえも可愛い
『グリム、寝ちゃった?』
ユウ『うん...今日のことでよっぽど疲れたんだろうね。僕達も寝ようか』
『ん...準備する』
レイラとせまいベッドに二人...二日目とはいえ慣れるわけがない。やっぱりドキドキするし、抱き締める手に変な力が入ってないか心配する
ユウ『...エースと何を話してたのか、聞いても良い?』
エースと何かあったんじゃないかって気になった。勿論、嫌なら言わないと思うけど、少しズレてる彼女ならもしかしたら言ってくれると心で思ってしまう。性格悪いな...僕は
『...今日、怪我させたことごめんって...』
あぁ...その事だったんだ...でもあれは誰のせいでもない。レイラの勇気ある行動だった...だけど僕達は気が気じゃなかった
彼女にもしもの事があれば、きっとエースは自分を責めただろうし、僕も自分が許せなかっただろう
ユウ『みんな心配したんだ...自分を大事にしてね』
『ん...分かってる』
どうやら、僕の杞憂だったみたい。二人きりになったからって、何かそういうことがあったなんてすぐ考えるのはやめないと
ん...?でも...
ユウ『...それにしては遅くなかった?』
『....』
ユウ『レイラ...?』
なんだろ...嫌な予感がする
『...エースと、キスした...口に...』
ユウ『....へ?』
口に...というか、エースって名前で呼んでるし...
ユウ『えっ...と、状況が読めないんだけど、詳しく教えてもらっても良い...?よね?』
『え....ぅん....』