第41章 *不服ビジット*
歓喜のあまりレイラに抱きつくと、一瞬苦しそうな声が聞こえたもののすぐに背中に手が回る
ジェイド『(何でしょう..この胸の不快感は..)良かったですねカリムさん。それにしてもどれも素晴らしい、人間の世界に興味深々な人魚姫が見たら、全部欲しくなってしまいそうな宝物ばかり。これだけの宝物、きっと管理も大変でしょう?』
カリム『管理はジャミルに任せきりなんだ。たまに虫干しもしてくれる』
ジェイド『ジャミルさんは本当に有能な補佐官でいらっしゃいますね。アズールも褒めていました』
カリム『へへっ、そうだろ?あいつは凄いやつなんだ。オレに勉強や魔法を教えてくれたのもジャミルでさ。家庭教師なんかより、ずっと教え方が上手くて。あ、ダンスもすげー上手いんだぜ。何でか、あまり人前で踊らないけど..』
『信頼してるんだね、ヘビさんのこと』
カリム『ああ。小さい頃からずっと一緒だからな!』
ジェイド『..そんな有能なジャミルさんは、今の貴方について何も仰らないのですか?』
カリム『え?』
ジェイド『長期休暇だというのに寮生を実家に帰さず、毎日厳しい特訓を強いている。普段の貴方からは、想像もできない行動です』
『私もずっと聞きたかったの。どうしてカリムさんはこんなことするの?』
カリム『う~ん..それは..オレたちには特訓が必要だったから、かなぁ..?』
腕を組みながらハッキリとしない口調で、まるで悩んでいるように目を閉じるカリムの態度に、二人は強い違和感を覚えた
ジェイド『ご自分の決定でしょう、何故疑問形なのですか?』
カリム『そうなんだよな。俺が決めてるはず、なんだけど..最近よくボーっとしちまうんだ..』
『どうして?疲れてるから?』
カリム『そうみたいだ。ジャミルが言うには、2年生で寮長になった忙しさで、疲れているだろうからって』
ジェイド『..ほう』
カリム『昔からオレ、難しい話を前にすると寝ちまってたからさ。それでよく家庭教師やジャミルに怒られてたんだよな』
ジャミル『何が難しいんですか?』
カリム『寮対抗戦で負けたとか期末試験の結果が悪かったとか..その責任とか対策とか..そんで色々と考えてるとボーっとしちまうんだ』