第40章 *浮雲リーブ*
レイラが泣かされたこともあってか、リーチ兄弟の攻撃は容赦することなくスカラビア寮生達を追い詰め、これ以上は無理だと判断したスカラビア寮生達は仕方なくこの場を諦めることにした
スカラビア寮生A『くそっ!一時退却だ!』
スカラビア寮生B『覚えてろよ!』
フロイド『ほら散れよ雑魚ども!あはははっ!』
ジェイド『みなさまのまたのご来店、お待ちしております』
スカラビア寮生が逃げるように去っていくと、モストロ・ラウンジに再び静寂が訪れた
グリム『にゃっはー!!やったんだゾ!見たかこんにゃろ~!』
アズール『良い気分になっているところ恐縮ですが..オンボロ寮のお二人には、今の戦いで傷ついた机や椅子の修繕費..及び捲き込まれた僕らの労働費を支払っていただきたいのですが?』
グリム『ふな"っ!金とるのか!?』
アズール『タコ殴りにされそうなところを救ってあげたんです。安いものでしょう?』
ジェイド『アズール、今は彼女を優先してあげなければ』
アズール『そうですね。レイラさん、もう大丈夫ですよ』
アズールの胸に顔を埋めたまま動かないレイラに優しく語りかけると、ゆっくりと顔をあげて辺りを見回す
『..怖い人達は..?』
フロイド『もういないよ。全員オレらが追っ払ったから♪あ、心配なら今から追っかけて息の根止めてくるけど?』
『ううん、行ってくれたならいい。ありがとアズさん、ジェイさん、フロさん』
目の周りを赤く腫れ上がらせながら力なく笑う。それを見てアズール達は胸が痛むような思いに駆られる
アズール『無理をしなくていいんですよ。あのような人達に追いかけられて怖かったでしょう?彼らには後程..いえ、今はいいでしょう。ジェイド、手当ての用意をお願いします』
ジェイド『はい』
ジェイド『これでよし..』
アズール『後は..僅かですがこの自然治癒力を高める薬を飲んでいただければ回復が早くなるはずです』
腕や足の怪我を手当てされ、更にアズールから小瓶に入ったおどろおどろしい色の液体を手渡され、一瞬躊躇を見せたレイラだったが、意を決して飲み干すと幾分か体の痛みが取れていった
『..ありがと』
アズール『貴女のお役に立てて光栄ですよ』