第40章 *浮雲リーブ*
ジェイド『ああ、やはりどこかぶつけて怪我をしていたのですね』
アズール『これはいけない。レイラさん、すぐに手当てを..っ!!』
横抱きにしようと近づいた瞬間、勢いよく抱きつかれ背中に瞬時に腕が回される
『ひっぐ..ぅぇぇぇっ..アズさ..あの人達怖い。怖い声でずっと追いかけてくるの。何もしてないのに..っぇぇぇ..助けて..助けてアズさん..ジェイさん..フロさん..っ』
『『『...』』』
アズール『..それが貴女の願いならば。お望みのままに..』
レイラとリーチ兄弟にしか聞こえないほどの声で囁くと、それを合図にリーチ兄弟は無言でユラリと立ち上がる
アズール『モストロ・ラウンジではいかなる揉め事も認めません。ここは紳士淑女の社交場ですから』
スカラビア寮生A『なんだと?邪魔する気か』
スカラビア寮生B『構わん、実力行使あるのみだ!』
アズール『ふん、品のないお客様にはお引き取り願いましょう』
アズールは未だに泣き崩れるレイラを優しく抱きしめながら、怒りの炎を巻き上げる銀の瞳を揺らしていた
そして無言で立ち上がったリーチ兄弟も同じく怒りの炎を揺らし、恐ろしい程ギラギラと輝く黄金の瞳がスカラビア寮生たちを睨み付ける
ジェイド『フロイド、僕の締める分も残しておいてくださいね』
フロイド『えぇ~それ無理かも。だってさぁ、
クリオネちゃん泣かせたやつ生かしとくか出来ねぇじゃん』
ドスの効いた地を這いずるような低音にスカラビア寮生は背筋が凍る感覚に足をすくませる
アズール『ジェイド、フロイド、彼らをつまみ出しておしまいなさい』
ジェイド『はい』
フロイド『アズール..』
アズール『分かっていますよ。僕も同意ですが、ここで肉塊の山を作ったところで彼女の清く美しい目が穢れるだけ。それに、僕らは慈悲の精神のオクタヴィネル。彼らにも少しの慈悲を差し上げないと..今この場だけの、ね?』
フロイド『..あはぁ。りょーかい.."今"だけの慈悲の心ね』
アズール『ええ、ただしその先は..ふふふ』
ジェイド『楽しみですね。ではいきましょうか..』