第40章 *浮雲リーブ*
立てますか?とそっと手を差し出すジェイド。その時、モストロ・ラウンジ内に複数の足音が鳴り響く
スカラビア寮生A『もう逃げられないぞ、盗人どもめ!』
スカラビア寮生B『おとなしくお縄につけ!』
グリム『ふな"っ!こんなところまで追っかけてくるなんて。なんて、しつけーやつらなんだゾ!』
執念深く追ってきたスカラビア寮生たちは、いつでも戦えるようにと全員マジカルペンを構えていた。そんな姿にグリムが座り込んだまま後退りすると、ラウンジの奥からコツコツと靴音を響かせ、奥からゆらりと煌めく銀髪が揺れる
アズール『君たち、こんな深夜に一体なんの騒ぎです?』
スカラビア寮生B『お前はオクタヴィネルの寮長、アズール・アーシェングロット..!』
アズール『..これは一体、どういう状況なんですか?』
スカラビア寮生A『オクタヴィネルには関係のないことだ!おとなしくそこの3人を引き渡してもらおうか』
アズール『(3人..?..っ、あれは..!)..よく見れば、床に転がって震えているのはユウさんとグリムさんじゃありませんか。余りに小汚いので、雑巾かと思いましたよ』
ユウ『慈悲の心で助けてください!』
土下座しながら頼み込むと、アズールは"ふむ.."と思考を巡らせる。そして、ユウ達に背を向けるとスタスタとリーチ兄弟の元へと歩いていく
スカラビア寮生A『引き渡さないのであれば、お前たちもただでは済まさないぞ!』
フロイド『はぁ?誰に向かって言ってんの?』
アズール『..レイラさん、貴女もどうやらお困りのようだ。対価をいただけるなら、僕の慈悲の心で救って差し上げても..』
愛おしげに目を細め、座り込んで俯いたままのレイラの手をとると、レイラの顔がゆっくりと上がっていく
『『『!!??』』』
『ぅ..っ..ぅぇ..』
アズール『レイラ、さん..?』
『ぅぇぇぇぇっ!!痛いよ..怖いよ..っ..!』
目元いっぱいに溜め込んだ涙が堰を切ったようにどんどん溢れだし、頬を伝い床にポタポタと落ちていく
突然の号泣にアズールとリーチ兄弟は内心パニックを起こしていた。だがよく見ると制服の汚れと白い肌についた打ち身の痕に気づき、その瞬間に3人の目の色ががらりと変わる