第40章 *浮雲リーブ*
スカラビア寮・上空
3人を乗せた絨毯は宝物庫を飛び出すと、一気に寮の上空高く舞い上がり、あの日カリムに連れられて見た景色と同じ夜空が広がる
グリム『ひゃっほーう!やったーー!!脱出成功なんだゾ!オレ様たちは自由なんだゾ~~!!』
『お星様キレイ..』
ユウ『やっと出られた...げっ!ちょ、下見て!』
『ぁ..バレちゃってない?』
ユウの指差す先には、寮の外から上空を飛ぶ絨毯とその上にいるユウ達に気づいた寮生が同じくこちらに指を差して何か声をあげている
『泥棒~!だってさ..』
ユウ『あちゃ~..絨毯に乗ってるから盗んだと思われちゃったんだね。まぁ、間違ってはないけど』
グリム『関係ないんだゾ!へへーん!悔しかったらここまでおいでってんだゾ!』
グリムの挑発を聞こえているのいないのか定かではないが、寮生たちは血相変えて全速力でユウ達を追いかける
ユウ『ところでこの絨毯どうやって操縦するの?』
グリム『操縦?えーっと、カリムは隅っこについてるフサを掴んで引っ張ってたような..えいやっ!』
絨毯『!!!』
カリムの操縦を思い出して見よう見まねで両端のフサを引っ張ると、絨毯は驚いたように跳ねると急にその場で回転し始めた
グリム『うわあ!?急に回転し始めたんだゾ!こらっ!言うこと聞くんだゾ!』
ユウ『うわぁぁぁぁぁ~~!!』
『わわわわ...!』
グリム『ぎゃーー!!目が回る~~!止まれ、止まるんだゾ!』
グリムの制止の声も届いていないのか、絨毯は更に縦横無尽に飛び回りながら砂漠をぐるりと回ったかと思うと、スカラビア寮へと戻り談話室や廊下を速度をあげて抜けていく
3人はもはや落ちないように必死にしがみつくことしかできず、成すがままに振り回される
グリム『うわああ~~!!鏡にぶつかる~~!!』
飛んで行く先に大きな鏡が現れ、思わず衝突を覚悟してギュッと目を瞑る。だかそれは鏡舎へと繋がる転送用の鏡で、3人はぶつかることなくそこをすり抜けた
だが鏡を抜けても絨毯は止まることを知らず、勢いのままどこかの寮へと繋がる鏡へ入り込んでしまい、そしてそのままある部屋に頭から突っ込んだ
ガラガラ、ガッシャーン!!
『『『うわぁぁぁぁ!!』』』